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パリ、嘘つきな恋のakrutmのレビュー・感想・評価

パリ、嘘つきな恋(2018年製作の映画)
4.2
フランク・デュボスクが監督、脚本、主演の3役を担当したロマンティック・コメディ映画。フランク・デュボスクが演じる靴代理店の管理職ジョスランは、若い女性との気楽な関係を楽しむ軽薄な中年男性。亡くなった母親の家で何気なく車椅子に腰掛けていたときに、ケアワーカーをしている隣人のナイスバディの女性ジュリーに遭遇し、とっさに車椅子生活者であると嘘をついてしまう。ジュリーから紹介された姉のフロランスは、車椅子が必要な障がい者であるが、スポーツに音楽に活躍しているスーパーウーマンで、お互いに惹かれ合っていく。どんどん深みにハマっていくジョスランは、彼の秘書や友人に相談しながら本当のことを伝えようとするが、なかなか言い出せないまま、ストーリーは展開していく。

健常者が障がいを持っていると嘘をつくという結構際どい内容にも関わらず、コメディアンでもあるフランク・デュボスクをはじめ、彼の秘書役のエルザ・ジルベルスタイン(弾け具合が凄い)や友人役のジェラール・ダルモン(『ベティ・ブルー』でのぶっ飛んだ演技が印象的)などの軽快でコミカルな演技のおかげで、嫌味に感じられず、全体的に爽やかな印象の映画で好感が持てる。相手役のフロランスを演じるアレクサンドラ・ラミーは、TVのほうで活躍している女優さん(ジャン・デュジャルダンの元奥さんですね)だそうで、車椅子でのテニスシーンなども含め演技はなかなかだし,笑顔も素敵だった。ディナーの席がそのままプールになるシーンなど、現実離れしているがお洒落な感じもgood!すっかり老け込んでしまったが、クロード・ブラッスールがジョスランの父親役で元気な姿を見せていたのも、個人的には嬉しかった。ストーリーがすごく面白いというわけではないが、肩肘張らずに気楽に楽しめる、個人的には気に入った良質の映画である。

ストーリーとは関係ないが、映画の中でとても気になってしまったのが、ジョスランが50歳前という設定。いくらなんでも老け過ぎだろ!と思ったが、実際のフランク・デュボスクも50代中頃なので、それほど現実離れしていない。やっぱり、欧米人の老け方は凄い。中華料理店でエルザ・ジルベルスタインが「アリガト」と言うシーンも、意図的なのかがわからないが、日本の扱いが適当で面白かった。
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