えびとまと

アド・アストラのえびとまとのレビュー・感想・評価

アド・アストラ(2019年製作の映画)
3.0

宇宙が舞台とあってがっつりSFものかと思っていたけど、内容としては、宇宙飛行士である主人公が、自身が抱える自分と人との距離間の問題に向き合い、そこで生まれるジレンマに葛藤していく、非常に人間的で内省的なヒューマンドラマ、といった印象が強かった。

任務のために常に自分の内面を心の奥底にしまい込んでいたはずなのに、安否不明だった偉大な父親のことに頭を使っていくうちに、放棄していた内側の問題がどんどん湧き上がっていくさま、演出は何かこみ上げてくるものがあって、その点は観ごたえあった。ただ、個人的にあまりSFに馴染みがないせいかもしれないけど、そういった内省的な部分が際立っていたこともあって、宇宙の壮大な世界観から、ストーリーを面白くさせる映画的な特別性をあまり見出すことができなかった。ぶっちゃけていえば、宇宙でなくともよかったなぁと思ってしまった。

といっても、『ワンハリ』のブラピと、常に己を律する今作の優等生なブラピのギャップは面白い。『ワンハリ』のブラピは「大スター・ブラッドピッド」、今作のブラピは「〝人間〟ブラッドピッド」といったところ。フィクションだけど、どこかノンフィクションな、1人の人間のリアルな気持ちも込められていたようにも感じられる。

しかし、疲れた状態で観たせいで、少しウトウトしてしまったのが悔やまれる。他の宇宙ものを観て、ある程度宇宙慣れしてからもう一度観てみよう。
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