えびとまと

空の青さを知る人よのえびとまとのレビュー・感想・評価

空の青さを知る人よ(2019年製作の映画)
3.7

昔と比べて、今の自分はどうなんだ。だっさい奴になってないか。世の中ってのはこんなんだよ、と得意げになっている自分を心の底から誇れるか。何かを失ったことのある誰もがそう思わずにはいられない。青春を終えた自分をぐっさぐさ刺してくる、若さを取り戻せ! 映画。

理想の自分を思い描いて、ひたすら真っ直ぐだった彼は、現実を知って、世の中こんなもんだと思い込んで、妥協に妥協を重ねていく典型的なつまらない大人になっていた。それでもなお、あかねはかつての彼がまだ存在していることをどこかで望んでいた。されど、空の青さを知る。この言葉が、狭い世界で生きてる私だけど、あなたのことは、あなたの頑張りは知ってるよ。といった、彼へ宛てたあかねのメッセージに聞こえてしょうがない。その姉とかつての彼へ抱く愛情に振り回される思春期真っ只中のあおいの気持ちも深く浸透してくる。

失っているものも多いけど、間違いなく進めているのだと、過去の自分が叫んでいた。

『3月のライオン』もだけど、親代わりになったお姉さんほど強い人はいないのでは。
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