山本

あの日々の話の山本のレビュー・感想・評価

あの日々の話(2018年製作の映画)
4.4
大学生が3次会のカラオケでオールする、ただそれだけのワンシチュエーションコメディ。舞台っぽいなと思っていたら、玉田企画という演劇が制作したとのことで納得した。舞台っぽいのは、会話の中で新たな事実が判明し、人間関係がつねに逆転するところ。「キサラギ」みたいな。たとえば隣室の「寝部屋」では女子たちの会話が行われているのだが、OGから陰湿な叱責を受ける一女が途中で激昂して形勢逆転するなど、ヒヤヒヤしつつもスッキリする展開が待ち受けている。そういえば一年女子のこと一女っていうよなあ、などと思い出しつつ僕が感じたのは、これは本当に大学生活の実感に基づいて書かれたんだろうなということだった。たぶん、この映画のような一夜を過ごしたことのある大学生というのはけっこう多いのではないだろうか。推測だけど。僕みたいに精神的にヒキニートをやっていた人間には絶対に思いつかない脚本だ。実際、僕のような人間はそもそもカラオケを会話劇の舞台にしようという発想がない。それを映画にしようという意欲と観察眼、おもしろおかしく脚色する才能がすごいと思った。始発を待つ気だるさ、滞留する紫煙、グラスを気にする後輩……あるあるってほどじゃないが、ああ、あの日々の話ですねって同調したくなる。「カメ止め」みたいに流行らないかな〜
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