ろ

サマー・オブ・84のろのレビュー・感想・評価

サマー・オブ・84(2017年製作の映画)
4.9

「デイビー、大きくなったな。いま何歳だ?」
「15歳です」
「最高の年頃だな。冷凍保存しておきたいぐらいだ」

少年少女が相次いで失踪した。
彼らはみな遺体で発見され、警察は連続殺人として捜査を始める。

夜な夜な仲間と鬼ごっこに興じる15歳のデイビー。
ふと庭の垣根からポーチを覗くと、地元の警官マッキーが一人の少年と話していた。
数日後、デイビーはあの日見かけた少年が行方不明になったことを知る。

ケープメイの殺人鬼はみんなから信頼される警官マッキーではないか。
デイビーは3人の仲間たちと協力し、マッキーの行動パターンを探る。
毎晩23時にジョギングすること、週末はガーデニングで使いきれないほど大量の土を買い込むこと。
そしてついに、彼の家に忍び込む作戦を決行するが・・・。

トラウマへの道をひたすら突き進んでいく。
マッキーを疑うのはデイビーただ一人。両親は息子の言葉を信じないし、仲間たちも次第にその熱意についていけなくなる。
「ぼくが全部責任を取るから」と説得すれば、「そうだよ、何かあればお前が責任を取れ」と突き放され、本当にその通りになっていく。
目の前で人が殺された上に、一生付きまとってやるからなと脅された恐怖を、彼は一人で背負い込まなくてはならない。
人間不信に陥るほどのトラウマを植えつけられた不快感の中、物語は終わる。
80年代風のカメラワークにウフフとなったり、子どもたちにアイスキャンデーを配るだけで怖すぎて笑っちゃったり、そんなことが嘘みたいにビターでざわざわする結末だった。と同時に、トラウマは連鎖していくものなのかなと思ったりもした。

「僕は学んだ。人は決して本性を見せない。愛想よく手を振る人たち。そんな隣人も一度家に入れば何をやっているか分からない」
ろ