ぬーたん

第三夫人と髪飾りのぬーたんのレビュー・感想・評価

第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画)
4.0
ベトナム映画って初めてかもしれない。観光でも人気上昇中のベトナムは景色が美しい。『そこは桃源郷か、籠の中の鳥か』というフレーズに”第三夫人”として嫁ぐ主人公の波乱の未来を予想出来る。第三夫人というと、デヴィ夫人を思い出すが、彼女も苦労したんだろうなあと思う。
嫁ぎ先の絹の里の富豪の元には既に第一夫人のハ(男子1人)第二夫人のスアン(女子3人)が居て、そこにまだ幼さが残る14歳の少女メイが加わる。これはまさに”大奥”でないか?愛憎うごめく、女の闘いか?と思ったが、意外にもそれ程ではなく、後半は協力し合ったり、仲良くなったりしちゃう。多分、そこには共有する気持ちがあり、自分自身の過去を見るような思いもあったのか。
第一夫人は男子を産んだから”奥様”第二夫人は男子を産んでないから”奥様”ではない、という使用人の言葉。メイは男子を産まなくてはならない、という使命感と焦燥感でいっぱいになる。
真面目で厳しいハを演じた女優さんは上品で線が細い。息子も大きいので結構年は行ってるのかなと思うが妊娠したのはビックリ。
スアンは奔放でメイにも優しい。演じた女優さんは肉感的でかなりエロいシーンもあった…。笑顔が可愛い。
肝心の旦那様は何処にでも居そうな普通の感じで、キャラもよく分からなかったが、役はスケベなのは確か!
ハの息子はダウンタウンの浜ちゃん似で、唇が大きい。笑
メイ役はまだ13歳の子役。かなり大胆な演技、すごいというか13歳とは思えない。表情ももう”オンナ”だった。
3人の妻は遠慮なく卑猥な話もして、同じ男を相手にしてるのに何だか不思議な感じがする。官能的なシーンが多く、前半は今一つ乗れないが、後半は見事な展開が待っている。
桃源郷というだけあって、景色が美しい。田舎の素朴な生活のシーンも面白く、時代がいつなのか分からなくなる感じだ。19世紀だそう。
女性は男児の世継ぎを産むという使命の為に、決められたところに嫁ぎ、男性もまた家のために親の決めた女性と結婚しなければならない。
封建的で不自由な世界。ついこの前まで子供だった少女が最初はおどおどしてるものの、自分の運命に従う決心をして逞しく生きていくさまが、辛いながらも愛おしい。
彼女の決断を苦しい気持ちで見るしかないのだ。素晴らしい作品だった!
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