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運び屋のtsubasaのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
3.9
『愛されるのにお金持ちになる必要はなかった。家族の事は忘れないでくれ、他の事は二の次だ。』
家族と仕事どっちが大切?
永年の究極の問にはっきりと答えを出した作品。そして老人の懺悔の物語でもある。

家族とも絶縁、職も金も失った孤独な90歳男性がとある物を運ぶ『運び屋』になるが...

主人公アールはクリント・イーストウッド監督自身が演じている。哀愁漂う演技には脱帽。そして今作も実話に基づいた作品。本当にこの監督は実話を実話を自分好みに変える(いい意味で)のが好きだな。

前半は主人公アールの人柄と運び屋、そしてそれ(裏の世界)を彼の人柄で上手くやるコメディ調であるが後半はシリアスな展開に。多少やり過ぎと思えるほどの感傷的セリフが多めだが本当に大切なことは何かを教えてくれる。

それと共に今作はアールの自戒の物語でもある。彼は基本、後先短い『老人』だから許される。憎まれ口も、絶縁状態の家族にも、裏の世界での無謀な行動も、そして法を犯してもなお許されてしまいそうになる。彼は作中で大切な事を気付けた、だけど誰も自分を責めない、自分を許さないで欲しい間違っている事をしたのだから。その全てが彼の裁判所での『あの一言』に詰まっていると思う。エンディング時の歌の意味も彼の意志の現れだろう。『運び屋=彼の人生の罪』アールが救われてよかった。
勝手な推測だけれども。
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