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マリグナント 狂暴な悪夢のtsubasaのレビュー・感想・評価

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)
3.9
ある出来事をキッカケに、不気味な男「ガブリエル」の悪夢に悩まされるようなったマディソン。
それはジェームズ・ワンが新たに生み出した、予測不能な悪夢の世界。
初の単独監督作品『ソウ』(2004)で、世界に衝撃を与えて以降「死霊館」シリーズや「インシディアス」シリーズなど、数々のホラー作品を生み出して来た彼の怪作。

序盤では、研究所で大暴れするガブリエルという、モンスター映画のような始まり方をするものの、謎が次々に重なっていくサスペンス的な展開へとなっていき、先の展開を予測することはほとんど不可能で伏線を確認しながら答え合わせも並行して行なっていく作品。

特に物語終盤、全てが明かされた後にマディソンが後ろ向きになった状態で、素早い動きで次々に警察官を襲うその姿は、これまで見たことが無い不気味ながらも爽快な光景となっており、この姿を見るだけでも、本作を観賞する価値はあるのではないでしょうか。

ストーリー展開も独特ですが、映像も何とも言えない「不思議さ」を感じる。
例えば、ガブリエルの影に怯えるマディソンが、自宅の中を逃げ回る場面があるが、突然上から自宅全体を見下ろすようなアングルに。
この場面は、ブライアン・デ・パルマを意識したような映像かと。
これまで影響を受けたと思われる、さまざまな作品のへのオマージュが込められていて観ていて楽しい。
また、おかしな音楽の使い方や、やたら不自然に見える場面など、なんとなく「B級映画」のような雰囲気が漂う。

そんな社会派ホラーが台頭する近年、アイデアだけで勝負する完全に振り切った今作は一見の価値あり!
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