カズナリマン

消えた16mmフィルムのカズナリマンのレビュー・感想・評価

消えた16mmフィルム(2018年製作の映画)
4.4
うーん、失踪モノとしても傑作!

Netflix限定公開中の本作。1991年に消えたフィルムを巡る物語なのですが…
その大事件が当事者の人生にもらたらす影響と、思いもよらぬ顛末を通してわかってくるのは…人間という生物の深さというか、複雑さ!
人間って面白い!っていうか、怖!

○一応あらすじ(まだネタバレなし)
お話はシンガポールほぼ初のインディペンデント長編映画撮影に挑んだ、当時18歳の大学生、サンディと友人たちのドキュメントからスタートする。
当時まだまだいろいろ社会的制限が多かったシンガポールにおいて、早期にアナーキーでパンクな芸術に惹かれ、留学を通して「自分たちの映画製作」へ乗り出したサンティたち。制作費と機材へのアクセス、技術ある協力者たちも手に入れ、1991年、いざ一夏の「Shirkers(逃れる者たち)」映画撮影に繰り出す。
独特な世界観の「Shirkers」は手作り感こそあれど、ありとあらゆる面で「自由」を表現した映画でもあり、完成すれば、のちのシンガポール映画界に影響を残したにちがいない作品だった。
しかし撮影終了後、フィルムは彼女たちの目の前から忽然と消えてしまう。映画に全てをつぎこんだサンディたちは心打ち砕かれ、それぞれの道を歩むが…
25年後、そのフィルムが発見される。思わぬ場所から。
果たしてなぜフィルムは消えたのか?そこにはどんな理由があったのだろうか?

いやーー面白いですねーーー。
何よりも「なぜフィルムが消えたのか?」というミステリーの後にやってくる、「いったい○○○はなぜそんなことをしたのか?というミステリー。「どうせこれが目的でしょ」「これが欲しかったに決まってる」などなど、浅はかな動機を予測して見ていると…
完璧に裏切られました。でも「あるかもー!!」って感じちゃったんですよね、そういう歪んだ願望というか、行動に心誘われてしまう可能性を、自分の中に。
それゆえ見た後、「ううっ」っと頭が軽くショートし、主人公たちの今の姿にちょっとホッとしました(雲をつかむような感想でスミマセン)。

ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ
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ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ
ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ
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ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ
ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ
ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ・ネタバレ

(微ネタバレのみにしときます)
なぜフィルムは消えたのか?
その理由は、ひとりの関係者による心無い行動からでした。
でははたして彼はなぜそんなことをしたのか?
その追求がとにかく面白い!!
この人物形成には、彼がみてきた映画達が深く関わっており、それがわからなくもないところが、また映画ヲタクには違うレベルで深く刺さるんじゃないでしょーか?
アーティストとは?才能への嫉妬とは?そして可能性への妬みとは?
アーティストを目指した経験をもつ人なら少なからず共感できるテーマを(そうでない人もきっと)この映画は「消失事件」を通して、突きつけます。
いやーー。否定できない!
でもほんと、現在のサンディたちの活躍には「やっぱり才能ある人たちは打たれても出て来るのね」となんだか納得!