つかれぐま

クワイエット・プレイス 破られた沈黙のつかれぐまのレビュー・感想・評価

4.0
21/6/21@T渋谷#3

"Beyond the Father"

「無音」演出は、遮音性の高い映画館ならではの体験。「子を思う父の映画」という枠から飛び出していく子供。彼らの自立を見守る幸福。

★無音という非日常で始まった前作と違い、今回はDAY1、すなわち日常から幕を開ける。これが効果的で、日常→非日常という変化が最大限に体感できる作りが良かった。

これは自分が悪いのだが、前作では「100%ホラー」と思い込んで臨んだために、意外にもウエットなドラマを飲み込めず。少し不幸な出会いになってしまった。でも今回は大丈夫、むしろその家族ドラマこそが面白かった。

子役たちの演技がレベルアップ!
そこにいない亡父を思い浮かべながら、という思いの伝わる好演。考えてみれば、 父親役だったクラシンスキーが監督としてカメラの向こう側に居る訳で、演技も演出もなにかとやり易かったんじゃないか。それが成功の理由かもね。

97分という短尺だが、体感時間はもっと短かった。「えっもう終わり!」というキレの良いエンディング。起承転結の「結」が無い気もしないではないが、久しぶりのハリウッド製純娯楽作が楽しかったな~。