勝ったのは農民だ

蜜蜂と遠雷の勝ったのは農民だのネタバレレビュー・内容・結末

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

『ジョーカー』🃏と『ジョン・ウィック:パラベラム』🔫と公開日が同じだったため、興行収入的には少し分が悪かったかもしれませんけど、今作の評論家の評価は高いですね。♨️

ウチの母親と90を過ぎた祖母は2人とも原作のファンなので映画館に観に行って絶賛していました。

で、自分もある程度期待して観ましたけど、予想以上に好きな映画でした。


※今回もある程度のネタバレしますけど、そこまで楽しみを奪うようなネタバレは無いと思います。
“最後、○○が勝った"みたいなネタバレはしません。ご安心ください。🙇🏻‍♂️

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【恩田陸さんの小説は未読です。】📚

だから原作ファンがこの映画を観たら色々と言いたいことはあるんでしょう。
母親も基本的に絶賛モードですけどそこは認めていました。

母親曰く、

⑴恩田陸さんの原作小説がそもそも映画化するのが難しい題材だそうですし、📚🎬

⑵まして2時間をきるような短い上映時間にするには無理がある話だそうです。⏳

その一方で、
聞くところによると、原作者:恩田陸さんは「前編・後編に分けるのはやめてくれ」🙅‍♀️って要望だったらしいですけど、それも大正解です。💮

少なくとも原作未読の自分にとっては、
一本の和製音楽映画として何の文句もありません🇯🇵😁

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【凄いのは何となく伝わるけど、技術的なことは一切分かりません。】

それから、
自分にはピアノの演奏の善し悪しもさっぱり分かりません。
『グリーン・ブック』📗もそう感じたんですけど、スタインウェイでもタケモトピアノでもおそらく区別がつきません。😅

二次審査で、「カデンヅァ」って”自由に弾く”パートがあるんですけど、“自由に弾く“もなにも、観ている自分は基本を知らない訳ですから。🤷🏻‍♂️

ちゃんと知識があるうえで今作のピアノの演奏に文句がある人は、それはそれでいいと思います。
自分は門外漢ですから。🤐

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【松坂桃李さんと松岡茉優さんと森崎ウィンさん】

役者さんはみんな良いです。

⑴松坂桃李さんはあいかわらず真面目に頑張る人の役なんですけど、
彼の今まで演じた役の中ではかなりフラストレーションが少ない方の役だと思います。

「春と修羅」の演奏で彼なりのベストを尽くして、みんながそれに触発されるのって最高です。😂

一般人として生活をする彼なりに“ピアノを弾く意義”があると信じている点とかも大好きですね。
基本的に『ロッキー』🥊とかが好きなせいもあり、個人的には主要キャラクターの中で1番好きです。

⑵栄伝あやを演じた松岡茉優さん。
同じ昨年2019年公開の『ひとよ』も良かったですけど、あの映画と今作とで体型が違うので、役作りの努力を感じます。

『桐島、部活やめるってよ』の時は大嫌いでしたけど、今はみんな大好きですよ。
あの人のことを嫌いって人はあんまり聞かないですね。🤔


⑶森崎ウィンさん演じるマサルも良かったです。
優勝候補筆頭のエリートなんですが、彼なりに完璧さを求める師匠との演奏のズレを感じています。😖

でも、幼なじみの栄伝あやとピアノの話を嬉々として話すくだりで絶対にこの人は悪人じゃないのが分かりました。

「俺はガンダムでいく」の次に、これはこれで、ハマり役だと思います。

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【そして、謎の天才:風間塵役の鈴鹿央士さん】

こんな話題作に新人:鈴鹿央士さんを起用したのはスタッフにとってなかなかの英断だったと思いますけど、ナイスキャスティングです。👍

とはいえ彼を観た瞬間、

志村けんさんみたいに「なんだ君は⁉️」って感情を抱いた人は多いと思います。

観ている自分も役者としての彼を全く知らなかったので、背が高いのに小顔でベビーフェイスな彼を見て「なんだ君は⁉️」って気持ちになりましたし、

劇中で、彼が初めてボロい靴を履いて👞目の前に登場した姿を見た栄伝あやも「なんだ君は⁉️」って気持ちになったはずです。


トランプで森崎ウィンさん演じるマサルがハートのエース♥️だとしたら、風間塵はジョーカーでしょう。🃏
ボクシングのナジーム・ハメド🥊とか、野性爆弾のくっきー🍪のコントとかにも通じる、型にはまらない異質な天才の感じがします。



でも、普通に考えたら気持ち悪い変な奴だと思いますけどね…。😰

栄伝あやさんをつけて来て、ピアノを横取りした挙句、課題曲と全く関係ない「月の光」を弾くのとか、正直言って彼女に失礼です。🤨

あと、あんな出血の止め方は良くないです。🩹❌

でも、えらいもんで、彼が良い化学反応を起こしますね。🧪周囲のみんなが彼に触発されて演奏が良い方向に向かった気がします。


もし世の中にピアノが無かったら、彼は“風間塵“という名前の通り、社会の中では「風が吹くと飛ばされる塵のような存在」だと思います。🌬
彼が1番生活感が無くて、他の業種やアルバイトとして働く姿が想像できません。🤔

彼自身の演奏技術が凄すぎてピアノ教室の先生にも向かないでしょうし、🎹
そういう意味では観ていて1番心配になったキャラクターです。😅

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【衣装も良かったです】👚👕

主要登場人物のみんな、基本的に普段は単色系の服を着ているのも「服装に無頓着」というよりは、「シンプルを好む清潔感のある人」に感じました。

あと、そんな人たちが水筒だけ子供っぽいのも良いです。それにもちゃんと理由があるんですけどね。😄

それに、石川慶監督の演出が相当うまいんでしょう。とにかく映像が美しかったです。🎥

森崎ウィンさんのランニングシーンのカッコよさとその風景。🏃🏼

曇天とか雨のシーン。🌧

あと、馬の走り姿。🐎

全編でよくある階段。📶

序盤で「いってらっしゃい」と言った人が、
終盤に「おかえりなさい」と言う脚本の気持ち良さ。

そして、エンドロールの最後の最後に遠雷⚡️が鳴って終わる締め括り方とか、最高です。🆒

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【勝ち負けが第一じゃない】

脇役の人も良かったですよ。
ただ、朝ドラの『エール』のキャスティングは今作と結構かぶりますね。

あと、ブルゾンちえみさんや、片桐はいりさんも“緊張と緩和“で言うと”緩和“の役割をしていて適役だと思いました。

『X-MEN』シリーズに出ていた福島リラさんが、少し嫌な女性の役を演じていますけど、
基本的にはみんな感じが良い人たちなんです。♨️

主要キャスト4人とも他人を蹴落とすような邪気がなくて、他人でも出来の良い演奏を見ると素直に笑顔になります。😁

デイミアン・チャゼル監督の『セッション』🥁って映画を、みんな絶賛していますけど、自分にはあのおっさんが何を考えているのか全く理解出来なくて腹が立ちました。💢

それに比べて、
今作の鹿賀丈史さん演じる小野寺さんは演奏がより良いものになったらそれで良い訳ですから。彼の行動原理には納得出来ます。

変にダラダラ長く見せずに潔い幕引きをする映画なんですが、ラストでみんなの努力が、ちゃんと報われたのが分かるのも良かったです。♨️

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【ストーリー・プロットは単純ですけど、色んな面で完成度が高い】

ストーリー・プロット自体は単純な話だと思うんです。
単純な話で、すごく完成度が高いんです。💮

もし、松岡茉優さんが主人公だとしたら、
ピアノ🎹ではないですけど、バレエ🩰やフィギュアスケート⛸を題材にした

『ブラック・スワン』とか『アイ,トーニャ』みたいな、あぁいうストイックだけど問題のあるスポ根ヒロインの話にすることも出来たと思います。
でも、そうじゃなくてむしろ良かったです。♨️

和製音楽映画としても後々、日本映画史に残るような作品だと思います。🎼