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ちいさな独裁者のMKのレビュー・感想・評価

ちいさな独裁者(2017年製作の映画)
2.5
将校の軍服を手に入れた若者が言葉巧みに徒党を組み、挙句囚人たちを処刑して行く…という実話を題材にした物語。

発覚すれば即処刑な緊張感しかない状況下にあって、着衣はともかく周囲の人間たちにその存在を信じ込ませ、さらには指揮権すらも手に入れることになる若き青年の言動が痛快でありつつも恐ろしい。

人を統べるシステムに個人の能力がどこまで反映されているのか?階級や制度、軍隊というシステムを成立するために構築されたルール、リテラシー。

人間社会の虚構っぷりと恐怖と狂気の暴走をなんとも控えめに傍観できる作品で怖くもあったのだけれど、

人々の目を欺くのには、やはり第三者、敵に対する悪意と殺意を利用することが最良と咄嗟に判断したのか、

或いは、戦火にあってはやはり、恐怖の対象である目の前の武装した、しかねない人間たちを亡き者にしたいという衝動が抑えられないのか。。

報道されるほどの大規模な戦争と隣り合わせな現在にあって、色々と考えさせられる作品だった。
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