1956年、東ドイツの特進クラスでの、授業時にした黙祷(沈黙)が問題になり、調査が入る。校長から、大臣まで出てくることになり、大問題に発展する。
造反だ、反逆だ、と。
卑劣で、高圧的な取り調べが続き、密告による裏切りや、不審感による分断を図られる。
対象は高校生なので、映画を見ている観客のような冷静な「客観性」はなかっただろう。そこが辛い。
その苦悩や動揺が伝わる映画だった。
また、移動の自由とか、放送を聞く自由とか、今の日本ではあたりまえに思えることがなかったという事実。
ソ連に追いて、社会主義を標榜するために、東ドイツでもナチスを否定した歴史など、あらためて知った。そのために翻弄された人々のことも。
時代のせいで、敵と味方に別れてしまった人々の歴史についても。
ナチスを否定したり、自由をほめたたえる映画は数々あるが、この映画の視点は新鮮だった。
ともかく、若者を青年を巻き込んで混乱させる時勢はよくない。