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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りのsanbonのレビュー・感想・評価

3.8
一言で言うなら振りが効いてる。

今作は、その場限りの小ネタで終わってもいいようなものが後半役に立つ重要なアイテムになっていたり、キャラを立たせる為の特徴や性格がしっかりと物語上に根付いたものになっているから、劇中で開示された要素に"無駄がない"と感じられる作りになっている。

特に、途中で交わされるある約束が終盤でしっかりと果たされる事によって、敵の目論見まで挫いてしまう展開は、なかなか捻りが効いている演出だった。

並の脚本であれば、その約束は"全てに蹴りがついた後"に、道を踏み外してしまった主人公の更生を印象付けて幕引きとする為に用いられる"クローザー"としての役割りで終始してしまうのだろうが、今作は振りに次ぐ振りに次ぐ振りの掛け合いで、ラスボスに立ち向かう為の術として昇華されているので、脚本に奥行きを感じる。

主人公が、最愛の妻を一途に想い続けている描写にしても、あそこまでしつこいくらいに描き続けたからこそ最後のあの選択がしっかりと活きてくる訳で、今作はそういう部分で"ちゃんと意味が分かる"気持ちよさに溢れている。

最近の映画にしても、画面を賑やかにしたいが為だけに、無駄な要素をごちゃ混ぜてくる作品が多くあったりするので、結局あれはなんだったの?とか、あの人なんで出てきたん?みたいなハテナが鑑賞後に残らないのは、後味としてとても良かったと思う。

ただ、今作はコメディ成分強めだからか、脚本に奥行きは感じるものの深みはない為、後味はいいのだが印象にも残らないという感じだったのは惜しいところだ。

あと「ソフィア・リリス」が可愛いからその分は加点とする。
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