凛

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンの凛のレビュー・感想・評価

4.2
パンフレットは無し。

スコセッシ監督とデニーロが80歳。
この組み合わせで何作も映画を見た。
そこにディカプリオも加わり、アメリカの黒い過去と向き合う。

実際にあった事件。
アメリカの先住民族のオセージ族の連日怪死。
制作にはオセージ族も協力し、よりリアリティが醸し出された。

アメリカに移民として大量の白人が流れ込んできて、元々住んでいる民族よりも上の立場に居座る。
これはアメリカに関わらず、どこの植民地でもあること。

自分達が追いやったオセージ族の住む場所に石油が出たことで豊かになった。
今度はそれを巡って白人達が暗躍する。

オセージ族の女性と結婚したアーネスト(レオナルド•ディカプリオ)と叔父のヘイル(ロバート•デニーロ)の表立っては激しくないが、心には黒いことを考えている含みのある演技が秀逸。

ディカプリオは「ゴッド•ファーザー」のコルレオーネの晩年に通づるような渋さと哀れさ。

悪事は覆い隠されるばかりではなく、正式に捜査されることになる。これがFBIの始まりと言われる。

妻にしたモーリー(リリー•グラッドストーン)との
息詰まるようなやり取り。
欲に目が眩んだ者達の醜さや愚かさを淡々と描き、アメリカが忘れようとしていた事実を掘り起こす。

移民社会の中で分かり合えない人々はどのように折り合いを付けていくのか、様々な事が思い起こされる深みのある作品。
凛