Gatt

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのGattのレビュー・感想・評価

4.1
デイヴィッド・グランの「花殺し月の殺人」の映画化。日本語訳タイトル渋いですねw。歌舞伎の副題みたい(笑)。
「flower moon 」は5月頃の満月を指すようで、4月に咲き乱れた花たちが、5月になると背の高いムラサキツユクサによって太陽を阻まれて枯れてしまうことから「花殺し月」という意味になるらしい。題名的にも隠喩っぽくて深いですね。

石油を発掘したネイティブ・アメリカン オセージ族と、彼らの富に目をつけた白人たちを描いた作品です。
3時間半という長い作品なのに、もう一回観てしまった程好き(笑)。実際の事件をベースにしてるリアルな悍(おぞ)ましさというか、サスペンス。

リリー・グラッドストーンが登場早々から堂々たる威風。佇まいの美しさ。それが段々と病んでいく。崩れていく。正に蝕まれているって感じで、惹きつけられる演技です。

レオ殿はなかなかのクソバカ野郎役なので、ファンとして幻滅と役者妙理のジレンマを感じるところ。ヒーローさがない演技です。
元々のキャスティングでは保安官だったらしく、脚本大幅改変にて、次女の旦那になったらしい。実行犯目線にて展開していく視点で俄然面白くなったという噂です。

でもそれに輪をかけてクソ野郎なのがデニーロで、黒幕。正直、良い人ぶって励ましたりするとこキモいと感じた。自らをキモいと感じさせるなんてホント名優デニーロですw。

色んな映画で見かけるけど、白人の搾取自己中っぷりは、淺ましいに尽きる。利権が絡んでくると常軌を逸した事が行われる。この事件の犠牲者も60名とも言われるが、石油利権に及べば数百人にも上る可能性もあるそうで、痛ましさに胸がつかえる。

何しろ長い映画だけれど、面白いので2日に分けてでも3日に分けてでも良いから観てほしい。配信なんですからw
さりげなく小さくかかり続けるベースドラムの音楽が、超印象的。
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