コマミー

幸せへのまわり道のコマミーのレビュー・感想・評価

幸せへのまわり道(2019年製作の映画)
4.1
【怒りはどこから来る】

"怒り"はどこから来るだろう?
嫉妬、悲しみ…、何か自分にとって"害悪"となるものに対して、"自分を守るため"に起こり得るのが「怒り」と言う感情なのだと思う。

それを教えてくれるのが、"一人の子供番組の司会者"だった。

ここに出てくる"フレッド・ロジャース"。実在の人物であり、劇中でも登場する「mister rogers neighborhood 」と言う子供番組の司会者だ。丁寧な語り、心優しい性格が特徴の方で、とても人気があったとだと言う。

そんな彼の事を取材する"ロイド"と言う記者が今作の主人公。
彼は"家族関係"と自分の"ある性格"に対して"問題"を抱えているが、本人はそれを認めようとせず、彼にも妻と子供がいるが、隠してきたのだ。……と言うより、"閉ざしていたのだ"。
その閉ざした原因であるロイドの父親。彼が来たときはいつもロイドは"過去を咎め"、喧嘩になる。
絶対にこの暗闇から抜けられないと思っていたし、気づいては貰えないと思っていた…。しかし、フレッドはロイドに会った瞬間から気づいていた。そうして、ロイドはフレッドが誘う、「感情を癒す日々」が始まるのだ。

先ほど「感情を癒す日々」と表現したと思うが、どこかあの「ブリグズビーベア」と似ている点がある作品だと思うのだ。だが少し違う点を言うと、主人公のロイドは"頑なに自分を閉ざそうとしている"ことだ。そこに、本作で言う"ブリグズビー的"な存在のフレッド・ロジャースが手を差し伸べると言う物語が本作だ。
似ている点だと、特異な画質と可愛らしさがあること。番組やミニチュアの場面だと"アナログ"のような画質、現実に戻ると"デジタル調"になると言う特異な構造の画質になっている。非常にこだわりが強い作品だと言うことが分かるだろう。そこの面は、「ブリグズビーベア」と似ている部分がある作品だ。

そして何よりも本作での"トム・ハンクス"演じるフレッドの言葉によって、ロイドが家族に対して"心を開いていく様"が、今思い出しても、"にやついてしまうほどホッとする"のだ。非常に「抱擁」と言う言葉が似合う作品であり、非常に好きになった。

人生は様々な"怒りと悲しみ"に直面する。だがこれはセットで起こることであり、[悲しみまたは虚無感]と共に"どうしようもない怒り"がやってくるのだ。
そんな経験をした人に、本作を観てほしい。

フレッドが教えてくれる、「怒りと向き合う方法」……。

きっとその答えに、貴方も響くものがあるのかもしれませんよ?
コマミー

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