イルーナ

キングスマン:ファースト・エージェントのイルーナのレビュー・感想・評価

3.4
本来は2019/11/8に公開予定だった本作。
しかし配給元の20世紀フォックスがディズニーに買収され、そこから今なお続くコロナ禍の影響により、実に7度もの延期。
さらにやっと公開できたと思ったら、よりによって『劇場版呪術廻戦』とかち合うという、近年稀に見るレベルで世情に翻弄された作品です。
まあ、配信限定やお蔵入りにならなかっただけでも幸運と思わなければ。
私も母もこのシリーズは大好きなので、当然期待しておりました。特に母はグロやブラック要素がある作品にしては珍しく気に入っていたし。
果たして、キングスマンの「超過激な始まり」はいかなるものだったのか。

……上映後、母とブツブツ。
「何か……思ってたのと違うな……というかキングスマンでやる題材かこれ?」
ここまで母と一字一句感想が一致したケースは珍しいのですが、面白かった!というプラスの感情からじゃなかったのが残念でした。
まさかこのシリーズでこんなに困惑させられるとは……

舞台は第一次世界大戦、そしてディズニー買収の影響を受けてか、今まであった過激なネタ要素はだいぶ薄い。というかほぼ戦争もの。
息子の死のショックで飲んだくれる姿が出てきた時はどう反応していいのか分からなかったよ。スカッと笑える作品を期待していたのに。
他のスパイ映画シリーズとは違う独自路線が人気だったのに、結局似たような路線になってしまった。
「マナーが紳士を作る」というシリーズを代表するセリフも、まさかのラスボス由来にされたし。さらに相手がスコットランド人であることを考えると……

それでもシリーズらしい見どころはちゃんとあるもので、まずロシアの怪僧ラスプーチン。
あまりにも現実離れした逸話の数々から創作の題材として引っ張りだこですが、確かに本作にぴったりのキャラクター。
毒を盛られても死ななかったというエピソードがしっかり再現されていたし、ダンスしながら壮絶バトル!の演出もキレッキレ。
あと足舐め(苦笑)そしてちゃんと足が治ってるw
おそらくここが一番キングスマンらしいシーンだったと思う。
というか予告見る限りではラスボスだと思っていたよ……中ボス程度の扱いはもったいなかった。
後はオックスフォード公を尻に敷きまくるメイドのポリーや、カシミアヤギのアシスト辺りがそれっぽかったか。

とはいえカタルシスにいまいち欠けており、やっぱりハリーとエグジーあってのキングスマンだったということを再認識させられました。
エンドロールではいかにもこれの続編やりそうな雰囲気だったのですが、来年から撮影開始の次回作はエグジー主役だそうで、そこはちょっと安心。
ただ本作で次回作の伏線を張っているというのが気がかりですが。
イルーナ

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