ひでやん

ザ・ピーナッツバター・ファルコンのひでやんのレビュー・感想・評価

4.1
眼福を得る旅路。

エレノアを演じたダコタ・ジョンソンがとにかく可愛かった。もう彼女が画面に映る度に見惚れてしまい、目の保養になった。そんで、タイラーとザックを見ていると心の保養になる。やっぱロードムービーはいいよなあ。

施設から脱走したダウン症の青年と、悪事を働き追われる身となった漁師が出会い、旅をする。歩くのが遅いザックと、その前を歩くタイラーの「距離」の見せ方が良かった。画面の両端に2人を捉えた引きの画だったり、少し離れた2人を俯瞰で見せたり、隣に座る背中を撮ったり、カメラワークやカット割りが心地良かった。

湿地帯に逃げ込み、遠浅の海やトウモロコシ畑、線路を歩き、ショットガンをぶっ放し、野宿でパーティ。ザックが泳げないならタイラーが引っ張り、タイラーが悲しめばザックが肩を貸す。助けるのはお互い様で、健常者と障碍者ではなく男と男ってのがいい。

タイラーを追う地元の漁師は「悪玉」であるが、カニを盗まれ、捕獲網を燃やされた「被害者」である。その「加害者」であるタイラーは普通にザックと接する「善玉」だ。看護師のエレノアは、施設で世話する老人を看取って来た「善玉」であるが、「だから私は偉い」というおごりがどこかにあったんだと思う。そして、夢追い人を連れ戻そうとする彼女は悪玉…。「人間の善悪は魂で決まる」という台詞が印象的だった。

一緒に遊んで同じ体験をするからこそ相手と心が通じる。魂の共鳴ってやつで、善玉3コで元気玉だ………ちょっと何言ってんのか分かんないんだけど、とトミーに言われそう。

子供の頃、オカンにタイガーマスクの覆面を作ってもらった。布を縫い合わせた不格好なマスクだったが、それを被って風呂敷をマントにしてポーズを決めた写真がある。自分は真似事で終わったが、ザックは真っ直ぐ夢に向かい、ファルコンになったから胸が熱い。

人って、生きている限りなんにでもなれるんだな。生きてるだけでまるもうけだな←パクリ。ソルト・ウォーターの登場がヤバかった。待ってました!の登場に涙腺ちょびっと緩んだ。エンディング曲は3人の心を歌っていて、「家」という歌詞がしっくりきた。
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