fujisan

ザ・ピーナッツバター・ファルコンのfujisanのレビュー・感想・評価

3.8
心癒される良質のロード・ムービーでした。

漁師の若者とダウン症の青年、看護師の女性3人による、心温まるロードムービー。

Youtubeの映画紹介を観て視聴したのですが、観終わった後に優しい気持ちになれる、とても良い映画でした。

舞台はアメリカ南部の東海岸、ジョージア州サバンナの湿地帯。ポスタービジュアルにある船のシーンも美しい光が差していますが、全篇、森と海、湿地帯に差す光の美しさに魅了されます。

思い出したのが、同じく美しい湿地帯を舞台にした映画「ザリガニの鳴くところ」。こちらもアメリカ南部ノースカロライナ州の湿地帯が舞台ということで、こういう映画を見ると、実際に行ってみたくなりますね。

ストーリーは、兄を失って生きる希望を失ったタイラー(シャイア・ラブーフ)が、施設から逃げ出したダウン症の青年ザックと出会い、彼のピュアな夢を叶えるべく旅をしていくうちに、自らも希望を取り戻していく、というもの。

内容的にはありふれたストーリーですが、旅のバディがダウン症の青年ザックであるところがポイントかなと思います。

ザックは自由奔放、思ったことを言う子どものような存在。

ダウン症の彼にどう接するかによって、その人の本質が見え、ザックの、ある意味空気読まずにずかずかと語る本音によって、薄っぺらな表面だけの人間関係はかき回され、本質が現れます。



俳優で印象的だったのが、主役の一人である漁師のタイラーを演じたシャイア・ラブーフ。

シャイア・ラブーフで思い出すのが、「フューリー」で自らの顔をナイフで切りつけるなどの奇行のイメージ。実際、この映画の撮影時にも色々やらかしていたようですが、撮影中に会心し、セラピーに通うにようなったというのも良いエピソード。*

もう一人、旅に合流する看護師役のダコタ・ジョンソン。ナチュラルな笑顔が印象的で、海辺でタイラーと会話する笑顔の二人に逆光が差し込むシーンの美しさは格別でした。

本作は、2019年の作品ということで、こんな映画あったっけ?って感じだったのですが、日本公開は2020年2月のまさにコロナショックの時期で、おそらくもう映画どころじゃなかったんだろうなと思います。

ロックダウンで外に出られない頃に観たら泣けただろうなと思いつつ、今観ても本当に良い映画でした。




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