社会のダストダス

ザ・ピーナッツバター・ファルコンの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

4.1
前日に「ミッドサマー」を観たのち本作を鑑賞、何というか生まれ変わったような気分になっている。

ダウン症の青年ザック(ザック・ゴッツァーゲン)が主人公。老人養護施設で暮らしていたがプロレスラーを夢見て施設を脱走する。偶然出会った金欠の漁師タイラー(シャイア・ラブーフ)と意気投合し、追ってきた施設の看護師エレノア(ダコタ・ジョンソン)も加えて、ザックの憧れのプロレスラーが開いている養成学校へ向かうことになる。

自分は最近ご無沙汰ではあるがプロレス好きだったので、ザックの熱量には共感できる部分も多いし、自分も悪役レスラーのほうが好きだった。「ピーナッツバター・ファルコン」って題名すごく好きだけど、悪役レスラーのリングネームっぽくない響きなのもなんか面白い。終盤の憧れの悪役レスラーに会う場面が象徴していると思うけど、ファンにとってはあの姿こそがヒーローなんだなと。

シャイア・ラブーフがこんな渋いひげ面の似合うおっさんになっていたなんて知らなかった、この人今まで全くのノーマークだったけど。道中の自然の美しさとダコタ・ジョンソンのナチュラル美人オーラにより、多幸感に満ちた映像美。
ザックとタイラーが仲良くなっていく過程が良く、タイラーは冒頭からは想像できないような表情をするようになりザックの夢を本気で応援するようになるのが熱い、そしてタイラーの言葉でエレノアのザックの見方も変わる。

「友達は自分で選べる家族」って考え方はとても素敵。これから暖かくなる今の時期にもピッタリなハートフル・ロードムービー。正直、上映館が少ないのが勿体なさすぎる。