こたつむり

世界でいちばん悲しいオーディションのこたつむりのレビュー・感想・評価

-
♪ Stay このままで諦めてたらだめだよ
  My story

いわゆる公開説教ですよね。
アイドルを目指す女の子たちを集め、過酷な試練を与え、脱落したら「おまえはダメだ」と言う…正直なところ、観ていて気持ちが良いものではありません。

でも。
視点を変えれば、その試練は彼女たちに“物語”を与える過程。何も背景がない女の子を偶像(アイドル)として祀りあげるなんて“ありえない”話なのです(そんな話があったら詐欺ですよ)。

だから、その試練を潜り抜けることが出来れば。“過酷なオーディションを乗り越えて頑張る女の子”のステータスを手に入れ、次のステップに進めるわけで。それにオーディションを取り仕切る渡辺淳之介さんの言葉も正論ばかり。

要は本人の姿勢なんですよね。
芸能界って努力が報われる世界ではありませんが、大切なのは外見とか才能とかではなく、中身から染み出る“何か”。それを人間性…でまとめたら雑すぎると思いますが。

でも、それは堅気の世界だって同じ。
大手企業のネームバリューで仕事をしても、周囲から認められるのは“何か”が染み出ている人。その辺りを疎かにしたら長続きしません。

そして、お客さんはその“何か”に触れたいのです。この事務所の中でBiSHが飛びぬけて支持されるのも、その“何か”がビンビンと染み出ているからだと思います(勿論、楽曲の素晴らしさも重要ですが)。

まあ、そんなわけで。
一種のアイドル育成を描いたドキュメンタリー。カタルシスの切り売りが嫌いな人にはオススメできません。

なお、難点としては、本当に美味しい部分はリアルタイム配信でしか楽しめず、本作はダイジェストに過ぎない…ということですかね。結局、誰が合格したのか、よく分かりませんでした。

ちなみに僕の中で最優秀賞は、最後の最後に登場した彼女(名前を忘れました…)。ただ、その笑顔がオーディション中よりも輝いていたのは、合宿の先で成長したから…と考えると皮肉な話です。
こたつむり

こたつむり