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彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドのHKのレビュー・感想・評価

3.5
ピーター・ジャクソン監督が個人的な理由で製作した第一次世界大戦のドキュメンタリーだそうです。
私には第一次世界大戦の知識はあまりないのでけっこう興味深く観ました。
映画も第二次大戦ものは数知れず観ましたが、第一次となるとすぐに思い浮かぶのは『西部戦線異状なし』『ジョニーは戦場に行った』『まぼろしの市街戦』などと限られてきます。

古いフィルムを最新技術で加工したそうですが、観ている間はカラーになってるけどちょっと不自然かな、くらいの印象。
ところが、元の素材は昔のニュース映像なんかで見る粗いチャカチャカした動きのもので、音声や効果音も全て後付けだと聞き、後になってその加工技術にちょっとビックリ。
何台ものマークⅠ戦車がガラガラと進むシーンなど初めて観ましたがかなりの迫力でした。

それでも、この映画で一番印象的だったのは、兵隊に志願しない若者にやはり若い女性たちが“卑怯者”を意味する白い羽を配っていた話や、戦争が終わって命からがら故郷の街に戻ったら、しばらく見なかったけどどこに行ってたの?と言われたという話です。
戦場を体験した人とそうでない人との間の大きな溝をあらためて感じます。もう一緒の社会生活なんてできないと思うのも無理ないのかもしれません。

作り物ではない本物の死体の山を見ているのに、作り物をたくさん見て慣れてしまっている自分に対しても複雑な気持ちです。
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