2011年3月11日。その日、たまたま家にいた自分は、街を飲み込む津波のTV映像と、みるみるうちに増えてゆく行方不明者・死者の数に恐怖し、福島原発の建屋が爆発した映像に震撼した事は忘れられない。
全く、何か起きた時に人間の手で制御出来ないモノを稼働させちゃイカンって、つくづく思った。
今作はその東日本大震災時の福島第一原発事故を描いた作品である。
自らの命をかけて原発に留まり、事故の拡大を防ごうと奮闘する現場作業員。
安全な東京で、アレコレと指図する東電本店のお偉いさんと、現場の事も分からずに何とかしろ!と騒ぎ立てる内閣府。
事実を基に描いた映画だとしても、映画であるからには、ドラマ性や"勇者"と"悪"の分かりやすい図式の方がカタルシスがあるとゆーのは分からんでもないが…
偏りすぎでしょ。
あの原発事故の現場で一体何が起こっていたのかを描くにしても、その後に検証された事実をしっかり調べた上で描いて欲しかった。
佐野史郎演じる総理(現実では菅直人)が、無神経に現場に乗り込んだせいでベントが遅れたっつーのは、当時の野党であった自民党がつけたインネンだし、尺のせいもあるのかと思うが、福島第一原発に津波が襲ってから、何波も来る津波や余震のせいで、作業が遅々として進まなかった絶望的な状況も端折ってるし、結果的に起こってしまったメルトダウンにも殆ど触れていない。
錚々たる俳優陣を揃えながら「世界まる見え特捜部」の再現ドラマレベルの浅っさい話である。
中途半端な家族の話とかいらねーから。
あと、取ってつけたような米軍の"トモダチ作戦"とかいる??
原作があるらしいが、数ある検証本の中で、このような偏った視点で書かれたものを敢えて映画化した製作者の意図が知りたいよ。
何だかなぁ。。。