シャトニーニ

ジョジョ・ラビットのシャトニーニのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.7
ドイツの運命ッ!!ジョ〜ジョ!


はいはいハイルヒットラー(挨拶


ナチス政権下で第二次大戦真っ最中のドイツを舞台に描かれる、ほのぼのブラックヒューマンコメディ。
うさぎ一匹ころせない心優しき少年ジョジョはッ ヒトラー崇拝者にして!親衛隊志望の、(当時のドイツ第三帝国の感覚で)将来有望な男の子であるッ


彼とママと、大尉と、あとお化けの、ちょっとしたドラマです。まぁ奇妙な冒険もしないしスタンド能力者も出てこないので安心ね。

題名のポップな響きから想像できなかった、凄く面白い映画ですこれ。対比される映画では同じ戦時下の「ライフイズビューティフル」とか「バティニョールおじさん」などが出てきそう、そう、ユダヤ人差別、というかアーリア人以外への差別語彙が素晴らしい映画。

作品内でヒトラー礼讃を描きつつもその滑稽さを現代に伝える場面が多く、事務的にハイルヒトラーを挨拶する所とか、これ偽半日漫画「テコンダー朴」の手法みたいで好き。
ヒトラーユーゲント(親衛隊)の訓練とかコントみたいで、こりゃ戦争負けるわって所が。あくまでも良く歴史の教科書に載ってるナチスドイツがした戦争犯罪より、彼らの理想をパロディしたものとしていいのだと思います。どっちみち正史は描かれているし、ほらほら、日本から見ても大戦中のドイツのイメージってユダヤ人虐殺ばかりで、レジスタンスや老若男女駆り出されたベルリン市街戦なんて知らないでしょ。地続きでない日本と戦争の傷跡は違うんですよ

ママ役にスカーレットヨハンソン。あー、これもう凄く合っている。子供が怪我したら抗議しに軍まで殴りこむ強い女であるのに、きっと誰も見てない所でまだ少女のように泣いてる内面もあって、子供との関係が親友みたいで、惹きつけられる。なんともまぁ健気な、ブラックウィドウ前日譚。

大尉を演じるサム・ロックウェル、大好きな俳優なんです。サムロク兄貴、ナチスのコートに身を包んだ軍人なのに、皮肉屋で、なお且つ子供好き(ていうか本人が子供そのもの)ってのがポイント高い。ナチスの服飾デザイン力は世界一ィィィ!(バルカン連射しながら

あとヨーキー。
アカデミークソカワ少年部門受賞だよ!

監督はタイカ・ワイティテ、貴様ッ、これでヒトラー役もやってのけながら
「アベンジャーズ エンドゲーム」や「マイティ・ソー バトルロイヤル」「グリーン・ランタン」も監督してるていう、コメディもシリアスもイケる口なのか!だからこんな絶妙なシュールが撮れたのかなぁと思いました。ナチス関係映画で泣くなんて久々でした、モ○ドに怒られない程度にね