おお!フリードニア!泣かないでおくれ!
あのミュージカル・シーンだけ、カセットテープにダビングして、ずっとリピートして聴いていたなぁ、学生時代の俺。
1929年の「ココナッツ」で映画デビューして以降、毎年ヒット作を放ったパラマウント時代のマルクス兄弟の最高傑作であり、あまりにもシュールすぎて当時大コケしたのが本作。
クレイジーなコメディは結構あるけど、アナーキーなコメディはこの映画くらいじゃないかしら。
中学生の頃にこのビデオを借りた時は、悪ふざけぶりが結構鼻についた感じを受けてあまり好きになれなかった(上述のミュージカルシーンは除く)。
むしろ本作の反省点を活かして作られたMGM時代の「オペラは踊る」の方が個人的には好きだった。毒気はかなり薄まっているけど。
しかし、この時代のコメディを観ると、いかにドリフターズが影響を受けていたのかよくわかる。鏡のギャグなんかその最たるもの。
逆に言えば、この時代のギャグを「全員集合」や「ドリフ大爆笑」でやってくれたおかげで、今の我々があまり抵抗なくマルクス兄弟のギャグを受け入れることができるわけで、そう言った意味ではドリフターズの功績は大変なものだと思う。
原題”Duck Soup”(確か意味は朝飯前だっけ?)を「我輩はカモである」と邦題をつけた当時の宣伝マンのセンスの良さには脱帽してしまう(それまでの「けだもの組合」「いんちき商売」「御冗談でショ」も邦題が素晴らスィ)。