これは刺さった…‼︎
こんなに感情移入できるドキュメンタリーは初めてかもしれない。
(と言ってもぼくはかなり一般的な家庭で育ってると思うし、暴力を受けてきたわけでは無いですが)
まずは冒頭のスケートのシーン。ガランとした街中を3人のスケーターが疾走する映像が綺麗でめちゃくちゃ引き込まれる。
スケートしてる間は嫌なこと忘れられるんだよって笑顔で話すザック、キアー、ビンの3人。
そこから、3人の恵まれない家庭環境や、先の見えない未来への不安、今の生活に対する不満といった内容のインタビューが展開していく。
パークや街中でのクールなスケーターの映像とは対極の、決して明るくない感情の吐露。
悲しい過去と現実をどう断ち切って、どう前に進むのか。
大人になるにつれて家族を大切に思えるようなったと話すキアーは、暴力を振るわれ、確執を残したまま亡くした父のお墓を訪れる。
この作品の監督でもあるビンは自分よりも、暴力を振るう継父を選んだ母にインタビューを敢行する。
子どものことは愛しているにも関わらず、夫婦仲が上手くいかないザックは事実婚を解消し、家族とどう向き合うべきかを考える。
個人的にはザックに一番入れ込んでしまった。
子どものために大人にならなければならないと理性ではわかっていても上手くいかないもどかしさ。
愛する息子ともっと一緒に居たいのにうまくいかない夫婦関係。
一番チャランポランに見えて、一番感情の振れ幅が大きくて、でも彼の二転三転する言葉はどれも本物の彼の気持ちなんだと思う。
ニナを愛する気持ちも憎む気持ちも、息子を愛する気持ちも、もっと自分の時間が欲しいと嘆く気持ちも、多分全部本物だ。
息子の将来のためになんだってしてあげたいけど、自分が子どもに悪い影響を与えるのではないか。
自分は善人だと思いたいけど、自分の人生をクソにしているのは全部自分のせいだ。
消えてしまいたいとすら話すザックの自己肯定感を持てない気持ちが痛いほどわかり過ぎて、彼が本心を吐き出すたびに涙が出てきてしまった。
ぼくの中にもそう言う気持ちはあるし、これから先どう折り合いを付けていけばと思うことだってたくさんある。
mid 90sと共通してよかったのは単なるスケートボードの映画ではなかったこと。
何故彼らがスケートボードに乗るのか。
スケートボードで疾走する彼らには何が見えているのか。
きちんとそこにフォーカスが当てられていたし、少なからず自分がそれを感じ取ることができる人間でよかったと思えた。
この映画に出会えてよかった。