このレビューはネタバレを含みます
「誰かのために自分を犠牲にするくらいなら、雨が降り止まず世界が形を変える方がマシ」
という話だと思う。
新海誠監督曰く「賛否両論の話にしたかった」というのはラストの部分についてだろう。
しかし、分かりづらい。
終わった後大量のはてなマークが出た。
*ここから先は文句たらたらもやっとパートになります。ご注意ください。
普通、陽菜が「天気と繋がっている」といえば彼女の心と天気が繋がってると思う。
実際「八月の雪」のような描写もある。だが、雨は異常気象だ。
彼女の心理的影響を受けて降っているわけではない。
ここがまず、ん?と思うポイントだ。
次に、晴れ女で金を稼いでしまっていた事。しかも結構な額を。
陽菜の心境としては、金の為ではなく人々の願いのためだったのだと思うが、金をもらう事で労働になってしまった。
代償として自分の身を犠牲にというのは程度の問題で、労働者は皆何かを代償にしている。
「一社会人としては、倒れる前に言えよ」という気持ちになる。
そして、失われた家族愛描写。
主要キャラは皆「人並みの幸せな家庭ではない」家庭だ。そこには何かあるのかもしれないが、一切映画では明かされない。
(ここは後々絡むんだろう)
と思うと肩透かしをくう。
テーマに目線がいくのはもはやラスト数分という羽目になる。
それならばこんな設定はいらないのではないのか?と思わざるを得ない。
最後に、「万引き家族」ばりの世知辛い描写が出るかと思いきや、
本作はファンタジーでありリアルな世界ではない。背景描写はもはやリアルを超えた現実感を持っているが、現実世界ではない。
この線引きがなく、生々しい割には結局、善意にデフォルメされた展開がものすごく違和感を感じる。
おそらく雨が降り続こうがなんだ世界の日常は変わらず続いてくという事を言いたいような気がするけれど、さすがに東京浸水させたのはやり過ぎ。逆にあれこれ気になってしまって、ラストの展開にノレない。
脚本だけみたら2.8くらいにしたいですが、素晴らしい雨と空と雲の描写、背景、楽曲、劇版、デフォルメされたキャラがリアルに存在するかのような世界観は唯一無二。