さうすぽー

天気の子のさうすぽーのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
3.7
自己満足点 74点

新海誠監督の最新作!
君の名は。で一躍人気アニメ監督になった彼が3年越しに作った一作

恐らく彼は社会現象を巻き起こした次の作品という事で相当悩んだと思います。
その悩んだ末に出来たストーリー展開と"その結末"になったのでしょう。
その結果、その新海誠ワールドにまたしても引き込まれた自分がいました!

君の名は。ほど好きになれたわけではありませんが、良かったと思います。

まず、予告から思ってはいたのが映像です!
映像は恐らく今まで観た新海誠作品の中で最も素晴らしいと思います。
君の名は。でも映像は綺麗だったのですが、今回は作画のきめ細かさやカメラワークのスピード、陽の光や雨の描写のクオリティが格段に上がっていました!

今回は「言の葉の庭」の滝口比呂志さんが美術監督をやっているので、雨が非常に透明感があります。
また、東京の風景も実写の映像をそのまま絵のタッチに変えたかのように立体的で圧倒されました。
そういった作画は、今までの新海誠作品をそのまま引き継いでいるので「海獣の子供」や「スパイダーバース」のような新鮮さがあったわけではありませんが、それでもこの美しい映像に浸ることが出来ました。

今回は主人公は田舎の離島からの家出少年であり、東京に憧れて不思議な女の子と出会います。

生活がギリギリな状態で女の子に優しく手を差し伸べられたら惚れるしか無いですよね(笑)
お互い助け合った事がきっかけで二人は交流していき、陽菜の秘密を知るに連れて離れていくのは君の名は。同様に儚さを感じました。

今回も声は全体的に良かったです。
帆高役の醍醐虎汰朗と陽菜役の森七菜はキャラクターに合っていましたし、小栗旬もなかなか良かったです。
そして、一部で酷評されていた本田翼は思ったよりも全然良いです。
予告で少し下手に感じましたが、本編はそれを忘れる演技力を見せてくれました。

RADWIMPSの音楽に関しては、インスト曲は前作よりも壮大で良かったのですが、歌の方は個人的に前作の方が好きでした。
君の名は。は主題歌がみんな良かったのですが、今回は何曲か微妙に感じました。
まぁこれは完全に個人の好みです(笑)

そして、この映画において最も賛否解れるであろうラストの展開は僕は「賛」です。
個人的に問題ありなところはありますが、僕はこの展開好きでした。

確かに主人公の行動は狂ってるかもしれません。常識や秩序を重んじる人は怒るかもしれません。
ですが、帆高くんの気持ちを考えたら否定する事なんて出来ませんでした。
だって、あの行動を取らなければ主人公は"灰色の人生"を送ることになるのですから!
ずっと後悔に苛まれながら虚ろな気持ちを抱えて生きていくでしょう。

しかしこの映画、やはり問題も何個かあると思います。

主人公は家出少年という設定なのですが、地元に帰るという選択を問われたら「帰りたくないんだ」と言って拒否するのですが、家出の理由自体が描かれていないので帆高のキャラクター性に深みが足りない気がしました。
それもあってか、ラストでの攻防戦に少しノイズを感じてしまいました。

それ以外は特に違和感は感じなかったです。

今回の映画は、10代の心で観るか、それとも大人の心で観るか。
それによって評価が大きく左右されると思います。
若い心で観ないとラストは受け入れられないと思います。

だからこそ、10代の方達は今のうちに観た方が良いと思ってます。