ニャーニャット

2分の1の魔法のニャーニャットのレビュー・感想・評価

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
2.4
今年初めての映画館。そして、今回のピクサーは今回は短編がなく、いきなり本編。

まず、CGのレベルが段違いに上がっててびっくり。ピクサーは今回に限らず、常に新しい技術と表現を見せ続けてくれてるわけだけど。着ている服の素材の表現力なんか尋常じゃない。
セーターやジーンズ、革やコットンまですごく質感の表現が細かい。兄貴の「モラトリアム」を象徴するまだ濃くなりきれないかといって産毛でもないふわっとした無精髭まで表現されてて芸が細かい。

物語としては、シンプルに冒険譚としては面白いし、その冒険がイアンの「通過儀礼」として機能している点、またイアンの父の不在を埋めたあるものがダン・スキャンロンの個人的な思い入れも感じられてグッとくるものもあった。
一方で、魔法や空を飛ぶ能力をロストテクノロジーとして扱った設定、それを復活させることの意味するもの、そもそも魔法に父親と兄貴がこだわりを持つ理由、そこら周りがなにかこう脚本とか構成をあまり練り切れてないように感じる。新しい便利な技術が出てきても魔法や空を飛ぶことが便利であることには変わらないし、実際に今回もそれらの能力が存分に活きている。そこらへんの設定がなんか曖昧だから、ケンタウロスの警官が最後、走ることに目覚めたところについても、動機もインパクトもなにもなく、判然とせずモヤる。
そして、兄貴もこの「通過儀礼」を通して「モラトリアム」を超えたはずなんだけど、ラストなんら変化を感じなかったのは俺が何かを見落としたのか…?
父の背中を追いかけるなり、大学でやりたいことを見つけるなり、働くなり、なにか実人生に向かっていく変化が示されてもいいと思ったんだけど。