翼

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスの翼のネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

疲れた…情報の海に溺れそう。
ワンダヴィジョンとwhat ifのシーズン履修必須な上に、並行世界の住人が入れ替わり立ち替わりなので、観終わった最初の感想は振り落とされずに着地できた安堵感。そんな映画ある?って意味では貴重な体験。

めくるめく映像美、マルチバースをぶち抜く世界線の表現間違いなく最高。ペンキにもなっちゃうしね。音楽もウィッチとゾンビの薄暗い感じの世界観のハマって最高だな〜と思ってたら納得のダニーエルフマン。ナイトメアビフォアクリスマス的なダークな世界線とベストマッチ。なのにだ!本作はとにかく脳内リソースの50%は情報処理に使うことになるので純粋に楽しめない!今追いかけてきてるワンダはどの世界で?このウィッチはあの本は読んでて?ウォンはその間なにをしてて?一方その頃Dr.はなんでここに来たんだっけ??みたいなことずーっと考えてて流れに身を任せられない。ストーリー頭に入ってる2回目の方が楽しめそう。良くも悪くも中間ハブ的な位置付けなので続作の出来不出来で評価が変わりそうな気もする。

「どんなに取り繕っても結局傲慢で、最後は自分でメスを持ちたがる。どの世界もあなたは同じ」って凄い言葉。元カノに言われるとかこれは流石に効くわ。数多のバースの中でアベンジャーズと共にサノス戦を経たDr.はその性質を克服する成長をした、という解釈でいいのかな。これはインフィニティウォーでガモーラの死を経験してストーンを揃えたサノスと、エンドゲームで石総取りでガントレットを手にするサノスの違いと捉えるとしっくり来る。前者は志を達成し、後者は滅びた。

まさかアベンジャーズからヴィランが生まれるとは思うまいよ。家族という存在を知らなければ求めようはずもない、マルチバースの被害者ワンダ。強大な力があるが故に全て叶えられる幻想に囚われ、身を滅ぼす。彼女の本質はウインターソルジャーのエンドクレジットで初登場した時の、なんか四角いのぶっ壊すヤンデレ剥き出しの彼女なのかな。だとすればアベンジャーズとの共闘の中でヴィジョンに出会い、愛を知り、失い、それ故に病んでヴィラン化するという残酷な運命。滅びてしまった後ではあるけど、なんとか救われてほしい…what ifでそこだけやってくれないかな。あまりに彼女だけ不憫すぎる。

上映が終わって席を立つ輩どもが「ワンダメンタルよえ〜ww」とか言ってたけど、子を持つ親ならよくわかってしまう、恥ずかしがりながらアイスちょうだいの歌を歌う子と、その子たちに恐れられることの残酷さ。魂がえぐられる。これはどんな暴力より効くのよ。ヴィランとなってしまったワンダに引導を渡すのはこどもたちだった、というのは実に納得の必殺技なのよ。
(そして離席直後に感想を述べ出す輩を私は許さない)

ところどころ物理!イルミナティの世界のキャプテンマーヴェルは落石で死ぬ 笑
翼