なっすん

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのなっすんのレビュー・感想・評価

3.9
―幸せか?―


【あらすじ】
スティーブン・ストレンジは、容姿の異なる自分自身と謎の少女が、異次元でクリーチャーに襲われる夢を見る。
その少女とクリーチャーは、夢から覚めたストレンジの元へ突如現れ、彼女の持つ“マルチバースを渡る力”が狙われていることを知る。未知の存在であるマルチバースに1人で太刀打ちできないと悟ったDrストレンジは、アベンジャーズの1人ワンダ・マキシモフの元へ訪れる――

【ネタバレ有】

予告、上手く作ったなあと。
マルチバースのお陰で無限の可能性が広がった反面、なんでもありで収集つかなくなり破綻する未来も見えてしまい、予告を見るだけでも少々心配はあった。
今回のドクターストレンジは、予告を見る限り“あらすじ”が全く見えてこず、不思議な不思議なマルチバースの世界へご招待みたいな漠然としたイメージしかつかないために、こんな内容で大丈夫かな?とも思ったけど、いざ本編を見ると、「え、これそういうことだったんだ」と思うような展開で、ネタバレに支障のないシーンをうまく活用した良予告だった。

今回の鑑賞で改めて、MCUは一見さんお断りな空気をよく感じ取れた。映画だけでも見ていればOKと思っていたら痛い目を見てしまう。ディズニープラスに入ってないと100%楽しめない構造なのは、さすがビジネスといったところです。ワンダビジョン、余力があればWhatifを見ましょう。

イルミナティの登場により、さらにマルチバースが拡大して進んでいくかと思いきや、思いの外あっさり片付けられてしまい残念。リチャーズやブラックボルトなど、アース616で未だ確認の取れてないないキャラクターらは、同じ配役で再登場する可能性も残っているが、エンドゲーム級の事件にイルミナティが関与してこなかった矛盾が残ってしまうので、別のバースから再登場させるほうが理想なのかな。

サム・ライミのマーベルカムバックは発表時からワクワクしたし、お得意のホラーテイストになるということでスパイダーマンシリーズとは全く違う毛色になるんだなと期待していた。結果、序盤のクリーチャーの目玉あたりからサム・ライミワールドは炸裂、中盤の不穏な演出や、後半の儀式らしきシーンやら、映画“スペル”を思い出した。
また、ラストシーンではワンダとドックオクを重ねて思い浮かべたり、サム・ライミであるからこそのストーリーでとても楽しめました。あと、ブルースキャンベルは期待以上の活躍をしてくれて満足。

ストレンジが結婚式の途中でクリーチャーのもとへ向かう際のビルを飛び降りるシーンは、ヒーローものはこうでなくちゃ!という雰囲気を久しぶりに見た気分。ここ数年、アスガルドとかワカンダとか宇宙とか、現実離れした舞台が多かったし、舞台の街中率が下がってきていることもあり、改めて一般の民衆を掻き分けていく本来のアメコミの姿はいつみてもかっこいい。
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