ふっくー

犬鳴村のふっくーのレビュー・感想・評価

犬鳴村(2020年製作の映画)
3.3
「呪怨」で日本中を恐怖のどん底に突き落とし、その後ハリウッドリメイク版でも自身で手がけた、世界でも知名度のある清水崇監督の最新作。

最近のJホラーは底辺のどん底に落ちに落ちたレベルのしょーもない作品が多かったですが、久々にJホラーの独特な恐ろしさとジメジメした雰囲気の正統派が帰ってきました。
ピントが合ってない遠くの方に映る人影、全体的に暖色系の色合いの暗い照明、村人が歌う不気味な歌など、ジワジワと怖がらせてくるこういうのが観たかったので、嬉しい限り。
今後のJホラーは清水崇と白石晃士、彼らに期待するしかないですね。。

福岡県宮若市に実在する、日本で最も恐れられている心霊スポットが舞台となっており、ネットで拡散された都市伝説にスポットが当てられている。
犬鳴トンネルの先を超えると「コノ先日本国憲法通用セズ」という看板があり、その先の犬鳴村でオノを持った村人が襲いかかってくる。
全会社の携帯電話の電波が届かなくなる。
などの都市伝説が有名なお話。

映画の冒頭で午前2時に犬鳴トンネル手前の公衆電話から電話がかかってきて、その電話に出るとダムに沈んだ犬鳴村の道が開かれるという都市伝説を若者カップル2人が検証する映像をPOV形式で撮影しており、そこまでの流れが非常に恐ろしくうまく出来ていて、テンションあがりました。

最近のホラー映画はオバケどーん!と画面に出すと逆に笑えてしまったり、逆に全く出さないと消化不良であったりと色々と難しいのですが、今作はやりすぎず、控えめにならなすぎずと何ともバランスの取れたいい雰囲気で物語が進みます。

ただ結局村のことは何も解決していないし、何かと消化不良は残りました。
「あの人がいなかったら、私たちは生まれてなかったかも知れない」と言って赤ちゃんを実家に連れてきて、過去の出来事と繋がるターミネーター展開はツッコミどころ満載だけど面白かったです。
犬鳴村の村人たちの血族が今も何処かでひっそりと暮らしていると思うと恐ろしい笑。
ラストシーンもハッピーエンドと思わせておいて、結局のところ、バッドエンドで終わる感じは
Jホラーの原点として復活してくれたことに感謝したいです。

ヤンチャな兄ちゃんグループが公衆電話に友達を迎えに行くシーンで、
「立ちションでもしてるんすかね?」
「ここでしろよ!見えるところで!」
というやりとりにちょいと笑ってしまった。

若手の新人?たちの演技は毎度の如く酷いものがありましたが、今作のMVPは間違いなく高島礼子です。この映画で1番気分悪そうな表情してたし、終盤の発狂具合が天才的でした。
犬が人の顔の皮を食べてたり、死体が腕バッキバキグネグネになってたりと、所々でエグいシーンがあるので、苦手な人は注意しましょう。

エンディングで、ドローン映像が流れるのだけど、最後の最後にトンネルの隙間に入って行き画面が真っ暗になる演出最高でした。

自分の2つ隣に座ってたポップコーンを静かなシーンなど関係なしにヴァリヴォリやかましく食べてた革ジャン男が、上映終わってエンドロールが流れた瞬間に自分が食べてたポップコーンのトレーをそのまま放置し、犬のような素早さで退出していったけど、映画が相当怖くて我慢できなかったんでしょうか笑。←静かに食えやww


今後のJホラーも期待してます。
ふっくー

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