ふっくー

ボーはおそれているのふっくーのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

A24制作、鬼才アリアスター監督の3度目のタッグ。

オカルトサイコを極限にダークに描いた
「ヘレディタリー継承」

ある村のイカれた風習に巻き込まれる
フェスティバルスリラー
「ミッドサマー」

そして今作
一度見たらもう戻ってこれない
オデッセイスリラー←なんだそのジャンル
「ボーはおそれている」

監督はこれらの作品は家族に関わる作品で、いずれもコメディ映画だと語る。

最強かつ最恐の究極毒親サイコパスムービー爆誕!!
いやーーまじでイカれてる。
アリアスター映画って一筋縄ではいかない作品なんですけど、今作もまじでやばい。
ヘレディタリー、ミッドサマーが、割と直接的なショッキング描写をやりながら、どこか陽気に描いている気持ち悪さがあったのに対して、今作は直接的なショッキング描写はほぼなく、ただ人の行いや、雰囲気の気持ち悪さで淡々と物語を説明なしで突き進むので、それが本当に怖いし気持ち悪い。
何の説明もないので、本当に内容が難しく意味不明な点がたくさんあるんですが、それを
意味不明→つまらない
で終わらせてくれないのが悔しい。
アリアスターは家族に相当な恨みを持ってるんだろうか笑。

この179分の本編で見させられる全ての光景は、ボーが精神疾患で日々日常的に見ている光景で、本当は存在しないのか、
それともほぼ全てが現実で、混沌の世界を恐怖と戦いながら必死に生き抜く現実なのか?
どちらとも捉えられる。まさに地獄のような179分だった。
全編通して、まさにボーが「恐れていること」を観客のこちら側にも体現させてくる。ボーが色んな理不尽に巻き込まれている時、それに対して怒りや怒号ではなく、「なぜ、そんなことをするの?」と問いかけているボーは本当に「恐怖」と戦っているように見える。

もう一度見に行きたいか?
友達に誘われたからもう一度と言われても割と真面目に断りたくなるくらい2度と見たくないかもしれない笑←褒めてます。

簡単に説明すると、主人公のボーという男は精神疾患を持っており、静かに過ごしたいのだけど、根が優しいので、非常に優柔不断な性格をしていたり、それが故に周りの人物たちの行いや、本当にイカれてる人物の関わりなどを悪化させてしまったりします。良かれと思ったことも状況を悪化させていきます。
そして突然の不幸で最愛の母親が亡くなったと聞かされたボーは、母親の葬式に出向くため帰省しようとするのだが、その過程で自分自身も含め、色んな人物の人生を狂わせていくことになる。
大まかに4部構成となっていて、ボーが何かにぶち当たり、そこで気絶することで、画面がブラックアウトし構成が変わる。
全てがうまくいかない気持ち悪さ、ラストシーンに現れる「あれ」。あれはボーが見た恐怖であり、トラウマを具現化したもの?
こんな映画一般受けされるわけないじゃないか。

アリアスター作品の特徴でもある、所々に隠された出来事、物、言語、ポスターの意味など、色々隠されているので、深掘りしてもう一度鑑賞したらまた違った発見があるかもしれない。でももう観たくない笑。
今作一番やべーレベチな存在はボーが愛する母親で間違いない。

パンフレットの解析記事が非常に面白く、それを読むとより一層今作の本質を知ることができるので、パンフレット非常にオススメ。

あとボカシシーン入れるのであれば、カメラを引きで撮る必要ないですよ。ボカシがあると、緊迫感ザラっと下がるんで笑。ただミッドサマーみたいにディレクターズカットというものが存在するのならそれもなくなるのかな??(存在するかは謎)

2人以上で見に行く場合は、過去作のアリアスター作品を平気な顔で見れる体制のある人以外では行ってはいけないよ。
体制ないと、確実に見に行ったあと真顔になるし、そのあとの会話続かなくなるから。
それが嫌ならポップコーン片手に真ん中陣取って1人で見ましょうね!
それだけは肝に銘じてくださいね!!笑
ふっくー

ふっくー