やまモン

火口のふたりのやまモンのレビュー・感想・評価

火口のふたり(2019年製作の映画)
4.0
【不自然な自然】

賛否両論待ったなしでしょうが、個人的には凄く好きだなぁ。
はじめの印象は凄く実験的で挑戦的な作品。登場人物二人。出演二人。ホントに二人しか出てこない。そして二人が作中でやるとこ。ひたすらセックス!セックス!セックス!セックスと会話の繰り返しで物語が進行します。
そして見終わった後の印象。あまりにも自然。そして普通。二人のぎこちなさとか間の悪さ。男性の落ちつかなさ。女性の視線や口調。とるに足らない普通の男女そのもの。
そして、東北について回る災害の影。それでも気にせずセックスする男と女。自然は人間の意思も努力もお構い無しだが、人間も大いなる自然などお構い無し。ヤルべきことをヤルのみ。考えるだけ無駄なのだ。
性描写や思考回路。嫌悪感を覚える人もいるだろう。はたまた羨ましいと思う人もいるかもしれない。
しかし私達は既に彼らと同じなのだ。後はそれを認めるだけ。
柄本佑と瀧内公美の二人のプロの演技に脱帽です。そして、柄本明さんが柄本佑のお父さんの役で声のみ出演されているのもポイントですね。