グラビティボルト

AI崩壊のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

AI崩壊(2020年製作の映画)
3.3
画面内画面、モンタージュのリズム感からしてトニー・スコットの「エネミーオブアメリカ」「デジャヴ」を連想させるし冒頭ビーチで走る大沢たかおを撮った一連のショットは「ボーン・スプレマシー」のランニングシーンをまんま模倣している。
入江悠は明らかに2000年代のハイテクハリウッドアクションの速いリズム感が好きな事が伝わり、とても俺の趣味と共鳴する部分が多かった。
ただ、やっぱ参考にされてるであろう上記の映画群に比べて無駄に人物が多すぎるのが苦しい。しかもモニターを眺める役者の比率に対してフィジカルな動きをする役者が大沢たかおしかいないのは逃走&追跡劇として致命的な欠陥だと思う。
特に追跡者の三浦友和が「老刑事」であるという設定がAIの機械的な判断と対立しないのがお話のリズムを欠く。
LDHの岩田剛典演じるインテリの横に常に芦名星、三浦友和の横に広瀬アリスというスレンダーな被写体を配置してるのに二人のアクションがないのもマイナス。せめて走らせて欲しい。
父と娘という定番だが、「分断された二者が再び合流することで完結する」構成になっている辺りもトニスコ映画的だし、決して不味い映画ではないけども好きなジャンルだけあって細部に不備を感じてしまった。