シュールで不穏で奇妙。普通な人が1人もいない、それでいて淡々としたテンポの良さで進む面白さ。話はわかるけど常に頭に「？？？」が浮かび続ける受験劇。
学歴に厳しく陰で子供っぽい父、過保護な専業主婦の母、勉強ができる兄の慎一を持つ勉強が苦手な問題児で次男の茂之。高校受験を控えて雇った三流大学生吉本による指導により成績は上がっていくが…。
BSでやってたので初めて鑑賞。家族ゲームというと僕の世代は嵐の櫻井翔さんが吉本を演じたドラマ版が印象的で、映画版や長渕さん版は知らないというぐらいだったのですが、松田優作さんが変な人の役なのにカッコ良すぎるんですよね笑 勉強意外に喧嘩を教えてくれるとかは「心を許せる先生」って感じなのですが、急にビンタしてきたり船乗ってくるしエ○本の件とか姑息な手も使うのが面白くて掴みどころのないキャラでした笑
思えば物語自体は割とシンプルで、キャラクターの魅力や役者さんの演技力、お洒落な構図やカメラワークが素晴らしい作品だと思いました。特に印象的な横一列の食事。ダ・ヴィンチかよと頭によぎるあの画の強烈さ、食卓を囲んでないあたりこの家族上手くいってないじゃんと一瞬でわかる撮り方はすごい…。父は目玉焼きの食い方キモい(風呂で豆乳飲むのも赤ちゃんじゃないんだから…)し母も鬱憤が溜まっているのか、兄も今度は自分の番と父に急かされてイライラ…。お互い変に干渉し合わない表裏がある家族の様がどこか居心地が悪い。
それらがあっての「最後の晩餐」はまさにカオス。そういう演出かと思って「何これ？」と笑い堪えてたら「あんたさっきから何やってるんだ」でマジの出来事とわかりもう我慢が出来ず爆笑。ドラマ版同様、家族に不満を感じ続けた吉本が「歪な家族の破壊者」として混沌をもたらし、それでいて演出がコミカルだったので非常に楽しめました。
全編劇伴が無いところや映し方にこだわりがあって奇妙な世界を堪能できます。
