矛盾を感じたとしても、目を瞑って生きる。
それは世界を生き抜いていく上で、一番賢いと言える選択肢なのかもしれない。
大きな矛盾に直面したとしても、
善悪の判断すらせず、自分の立場や肩書き、世間体を言い訳にして、「これでいいんだ」と自分を騙して前に進む。
そんな自分に、無垢な少女が問いかけてくる。
「あなたはいい人ですか?」
その問いに、はい。と答えられる自分になるには。
それはこの映画の結末のように、必死に努力して手に入れたアイデンティティを捨て去る覚悟を要求される道かもしれない。
そうだとしても。
いい人であろうと、1人でも多くの人間が思えたら。
その先の希望を持たせてくれるような素敵な作品だった。