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母との約束、250通の手紙のメルのレビュー・感想・評価

母との約束、250通の手紙(2017年製作の映画)
3.8
強すぎる母の愛は息子を生きさせたのか?殺したのか?

フランスの作家ロマン・ギャリーの自伝小説「夜明けの約束」の映像化でギャリーの半生をピエール・ニネが演じる。

第一次大戦の始まった年にロシア人として生まれ14歳でフランスに渡りフランス人として第二次大戦を戦い、母の望み通り偉大な作家になり、外交官にもなったロマン・ギャリー。
彼の2度目の奥さんはあのジーン・セバーグだった。

異常とも狂気とも思える母の愛情と期待に応える為だけに生きた青春時代。

ハッタリと嘘で押し通したような母の生き様だけど全ては息子の為。
反発しても結局母の望みが自分の目標となる。

強力過ぎて破壊的な愛、それをエネルギーにして大成したロマン・ギャリー。
彼の著書を読んだことがないのでこの映像の真髄を理解するのは自分には難しいと思う。

ただ、ユダヤ系ポーランド人が迫害を受けて自国を後にしてフランス人になる為に母と子で必死に生きた物語というだけでも価値のある作品だと思う。

本人の最後の言葉が「大いに楽しんだ。ありがとう。」だそうだけど、青春期にこれだけ波瀾万丈な人生なら60代半ばでもそう思うよね。ジーン・セバーグの自殺の翌年という事で「彼女の死とは関係無いよ」とメッセージ残すのも彼の性格が窺える。

シャルロット・ゲインズブールの息子命!の演技が凄まじい。
ネタバレしてる邦題は良くないと思う。
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