原作『ボヴァリー夫人』は未読ですので、錯誤が有るかも知れませんが。
オリヴェイラ作品の中でも、そのナレーションの多さから特異な立ち位置の作品です。
映画で読書するとこんな感じになるのでしょうが、主演のレオノール・シルヴェイラやこれまた常連のルイス・ミゲル・シントラの演技、また余白の多い長回しの効果もあり、没入感が損なわれることは有りませんでした。
物語は自分の美貌を知悉し、でも奉仕する心持ちが出来ず退廃的な生活を送る女性の孤独な足跡を描いています。
他の方も言われている通り、とても平坦で長尺な事もあり、私も失敗したかと思いましたが…、オレンジの下を潜り進むショットが余りにも叙情的でした。
物語云々というよりも、レオノール・シルヴェイラの演技と全編を繰り返し流れる様々な『月の光』を評価して、この点数です。