転がり落ちたひとりの女の物語。
Filmarks試写会にて。
なんて濃い111分。
視覚と聴覚がことごとく揺さぶられ、ずっと綱渡りの綱の上にいるようだった。
ただただ真っ直ぐ歩いていたのに、無力な石ころとなって転がり落ちて行く市子。
泥にまみれた水の底から水面を睨みつけるリサ。
対角線上にいる2人が向き合い、同時に歩を進めて行く。
筒井真理子さんの存在感がとにかく凄い。
脇を固める俳優さんも素晴らしい方達ばかりなのだが、やはりこの作品は彼女で始まり彼女で終わる。
言葉にするとかなりドロドロしていそうなストーリーだが、リアルなようでリアルじゃない不思議な空気感が常に漂っている。
その理由は、怖さと美しさを同時に感じる監督の撮り方や音の使い方にあるのだと思う。
そして筒井真理子という女優がそこにぴったりとはまりこんだ結果だろう。
洗車のシーンが脳裏に焼きついて離れない。
帰り道はあらゆる音が襲いかかってくるようで、ビクビクしながら帰った。