さうすぽー

DUNE/デューン 砂の惑星のさうすぽーのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
4.1
自己満足点 81点

やはり裏切らないですね、ドゥニ・ヴィルヌーヴは!!

スター・ウォーズや風の谷のナウシカ等、数々の作品に影響を与えたSF小説「デューン」の映画化。
自分はヴィルヌーヴが映画化されるという情報が出るまでは正直知らなかったのですが、デヴィッド・リンチが映画化に失敗して以来「良い映像化は不可能」と言われてきた本作がメッセージやブレードランナー2049を撮ったドゥニ・ヴィルヌーヴがどのように撮るのか非常に気になっていました。

有名な原作でありリンチ版からの再映画化だからか賛否が分かれており、一部では酷評もされてますが、自分にはそれが信じられない程楽しめました!


まずは何と言っても映像の美しさです!
メッセージからずっとSF作品を撮り続けていますが、メッセージを彷彿とさせる斬新な宇宙船デザインやブレードランナー2049を彷彿とさせる霧や光のコントラストを強調した美しい映像表現で魅力されました。
ある意味、映像面に関してはヴィルヌーヴのSF作品の集大成とも言えるでしょう。

衣装も素敵で、特に帝国側の側近の正装や宇宙服等、決して在り来たりではない独特な衣装で着飾っていたので、良い意味で異国感に満ちていました。

また、主人公側のアトレイデス家が訪れるメインの舞台、惑星アラキスのロケーションも「アラビアのロレンス」を彷彿とさせるくらい素晴らしいし、都市のデザインも中東の古代都市バビロンにも近い設計だったので、そこも好きでした。

他にも、ナウシカの王蟲に影響を与えたとされる巨大なサンドワーム(砂虫)にも圧倒されましたし、主人公を演じたティモシー・シャラメの美しさと素晴らしい演技にも魅力されました!


ストーリーに関しては、今回はパート1ということで前編のストーリーなので中途半端な終わり方をしてしまったのは否めませんが、それでも組織の勢力争いに重点を置いた政治要素や環境問題を織り交ぜた深いストーリー、精神世界やスピリチュアルな要素を含む特殊能力等、興味深い要素がいくつもありました。

スピリチュアルな要素は、ティモシー・シャラメ演じるポールに母親が訓練させた技であり、そこの部分では呪術廻戦に出てくる呪術に近いのが個人的に面白いです。
なので、呪術廻戦観てる方には「あ!」と驚くでしょう。

ただ、この上映時間にしてはもう少しストーリー展開のテンポを速くしても良かったのかなとも思います。
ブレードランナー2049でも感じた部分ですが、美しい映像と登場人物の心情に重点を置いてるあまり、ややスローになってしまってることは否めないです。

そういった意味では個人的なドゥニ・ヴィルヌーヴ作品の中では特別に評価が高い作品とは言えないです。

そして、正直難しい単語も結構出てくるし、劇的な展開もそこまで多いわけではないので、そこが人によって賛否が分かれる所だと思います。
ただ自分は、ヴィルヌーヴの芸術的で美しい映像センスと登場人物の心理描写を重視した本作を楽しむ事ができました。

なので、娯楽映画というよりスケールの大きな芸術的映画として観に行った方が良いと思います。