ブラック・アメリカにとってサム・クックの早すぎる死が何を意味したかを教えてくれるドキュメンタリー。証人が娼婦だからといって言い分の信憑性を低く見るのはどうかな…と一歩引いてしまった一方で、同時期にあれだけ多くのブラック・コミュニティの指導者が暗殺されたことを思うと、陰謀説も全く突飛には感じられない。モータウンはマーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイン・オン』まで所属アーティストの政治的主張を盛り込んだ楽曲を認めていなかったそうだけど、サム・クックが生きて自分のレコード会社を経営していたら違っていたのでは。
サム・クックとモハメド・アリが一緒に歌っている場面が本当に楽しそうで可愛かった。アリが初めてヘヴィ級チャンピオンになったソニー・リストン戦の祝勝会を題材にしているというレジーナ・キング監督の『One Night in Miami』も楽しみ。