このレビューはネタバレを含みます
スターリン統治下のソビエトに潜入する記者の話。
前半に描かれるのは、主人公ジョーンズがソビエトに潜入する様子。
どこもかしこも監視者だらけの世界は異常なものがありましたし、それらの目を掻い潜って情報を集めるジョーンズの姿はスパイ・サスペンスとしても楽しました。
そして、後半に描かれるのは、ウクライナへの潜入です。
かつて肥沃な大地と言われてたウクライナの現状は、路上に飢餓死体が散乱し、木の樹皮…あるいは人肉を食す程に困窮していたと。
画面から色彩が消え失せ、ほぼモノクロで撮られた一連のシーンは地獄巡りそのもの。
この“ホロドモール”と言われる虐殺事件については、何も知らなかったので勉強になりました。
全体的に地味な印象は否めませんが、サスペンスとして一定の面白さはありますし、ホロドモールの惨状は誰しもが衝撃を受ける事でしょう。
ホロコースト程には知られていないと思うので、是非本作でこの歴史に触れて欲しいなと思います。