たま

ペトルーニャに祝福をのたまのレビュー・感想・評価

ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)
3.5
ペトルーニャは
“わきまえていない女”
と森喜朗元オリパラ組織委員会会長なら言うだろう。

北マケドニアの小さな町の、男ばかりが参加する伝統儀式。司祭が川に投げた十字架を、手に入れたものは幸せが訪れるというもの。
意図せず男たちの集団に巻き込まれ、十字架を手にしてしまったペトルーニャ。

怒り狂う屈強で粗暴な男どもを相手に、一歩も引かないペトルーニャ。男どもはペトルーニャに罵声を浴びせる。

警察には拘束され、司祭も返還を促すが手出しはできない。別に盗んだ訳でもないのだし。

ペトルーニャは32才で実家暮らし。ちょっぴり太っちょでさほど美人でもない。大学は出たもののウェートレスの仕事くらいしかない。面接を受けてもセクハラされた上に侮辱的な言葉も投げかけられる。

社会の不条理をくっきりと浮かび上がらせている。
いかに社会が女性に抑圧的で、男性に都合よくできているかが分かる。
ペトルーニャの母親のように、抑圧されているはずの女性でも、その世界から開放されることを望んでいないのも事実。

どうもこれは実話をベースにした映画らしい。

社会の逆境に、静かに立ち向かうペトルーニャが清々しい。

ラストに至っては、ペトルーニャはもっと高い次元に到達したようで、重苦しい雰囲気の映画が一気に晴れたようだった。
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