バナバナ

スキャンダルのバナバナのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
3.5
2016年、ドナルド・トランプが立候補していたアメリカ大統領選挙の裏で、FOXテレビの創始者が元看板キャスターからセクハラで訴えられた実話の映画化。

同性でも利益を得た人間は加害者を守ろうとする人が大勢居たし、
訴えた女性キャスターも、訴訟を起こしたきっかけは自分の看板番組から追い出され、不利益が生じたからだった。

そして、若いキャスター志望の女性は「あなたたちがその時に行動を起こしていれば、今私たちがこんな目に遭うことはなかったのに」と言っていたが、彼女もキャスターデビューをちらつかせられたから話に乗ったので、拒否するかどうかは本人の自由だ。
だが断ると、会社に居ること自体が難しくなっていたのも事実。
断るかどうかは、自分の夢を掛けた人生も掛かっているのだ。

ここでシャーリーズ・セロンが演じているFOXの現在の看板キャスターも過去に身に覚えがあるが、彼女が夫や周りのスタッフに相談できたのは、最後まで致していないという事実があったのが大きいと思う。

彼女は自分で「なんでもっと早く声を上げなかったのだろう」という後悔の言葉を漏らしていたが、
これが日本だと、被害者の女性達の方が世間から叩かれかねない。
「だって、あんた達はそれと引き換えに地位も手に入れたじゃないか」と。
もしこれが日本なら、せっかく声を上げた人にそういう攻撃がたくさん来ると思うので、もしこんな事件があったとしても、声を上げるのはなかなか難しいだろう。

日本で就職の相談をしていた女性がレイプされたと訴えた事件は不起訴になっていたが、就職の相談時に、居酒屋などではなく、ホテルの高級レストランを指定してきたら、そのオッサンはあなたに対して邪な下心がアリアリなので、そこに行くかどうかはよく考えてから行きなさい、と若い女性にはアドバイスせねばならない、なんとも情けない日本の現状。
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