keith中村

ラストナイト・イン・ソーホーのkeith中村のレビュー・感想・評価

5.0
 本日2回目劇場に行ってきました。
 12月15日の豊洲は最終回だったからかガラガラだったけど、今日の19時くらいの回の日比谷はほぼ満席でした。
(あと、劇場そのものに最近人がめちゃくちゃ入ってる。「呪術廻戦」のおかげなんでしょうね。昨日の「キングスマン」のとき、年末で失効するシネマイレージをコーラとポップコーンで消化するために、売り場に並んだら、ものすごい行列で、席に辿り着いたのが「映画泥棒」ギリギリだったもんね)
 
 満席ってのは、6番スクリーンのキャパが小さいのもあるんだろうけれど、評判になって客が増えてるのもあるかな。喜ばしいことです。
 1回目はストーリーを追ってハラハラすることが多かったんだけど、全部わかって2回目観ると、二人の気持ちに寄り添えるので、中盤から結構涙を堪えっぱなしでした。ガラガラだったら遠慮せず泣いてたな。
 
 そんなことより、すみませんでした~~っ!
 先日のレビュー、削除しちゃってました。
 
 15日に観た後に、確かに書いたはずのレビューがこないだから消えちゃってて、おかしいなぁと思ってたんだけど、冷静に考えると、酔っぱらって読み返してるときに、べろべろだったんで、間違えて削除しちゃったんだと思い当たりました。
 せっかくコメントもいいねも何件もいただいていたのに、ほんとうに申し訳ございません。
 
 検索したら、Google先生大したもので、キャッシュしてくれてたので、そっちから拾って、再掲しますね。

 あと2回目の発見としては、劇伴が街の雑踏と混じる時に、クラクションや電車の軋みの効果音のキーが完全に一致してました。この辺は「ベイビー・ドライバー」譲りの演出!

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以下、12月15日レビュー。
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 主人公エリーちゃんの嗜好が過去を向いているのは、「モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ」や「ミッドナイト・イン・パリ」に似ている(後者はタイトルもそっくり)んだけれど、物語が中心に据えているのは、今年で言えば「プロミシング・ヤング・ウーマン」と共通するテーマ。
 
 「ジョジョ・ラビット」で、「戦争が終わったら何をする?」「踊るわ」→ラストでちょっとだけ踊ってたトーマシンちゃんが存分に踊る冒頭から最高でした。
(「ティファニー〜」と「スイート・チャリティ」のポスターが貼ってある!)
(12/28追記:一応注釈しとくと、どっちも娼婦が主役の作品です)
 
 アニャたんの踊りと歌も見事。
 私もそうなんだけど、アニャ・テイラー=ジョイを「アニャたん」と言う人が多くって、改めてなんでかなと考えたら「アニャちゃん」って発音しにくいだよね。だから、「アニャたん」になっちゃう。(←今おれ、喋ってなくて書いてるよね? じゃあ、「アニャちゃん」でもいいんじゃないのかい?)
(12/28追記:私、過去レビューで「アニャちゃん」って書いてましたわ😅)
 
 ストーリーだけ考えると、「こういう映画、100本くらい観たぞ」(大御所テレンス・スタンプがミス・ディレクションなのは、出てきた瞬間からわかっちゃう)ということになっちゃうんだけど、そこにエドガー・ライトのセンスが加わることで、一級の娯楽作品となっていますね。

 
 エドガー・ライト、相変わらず007要素をぶっこんでくるんだけど、本作はそれがかなり多め!
 映画館のマーキーの「サンダーボール作戦」。「女王陛下」のダイアナ・リグと「ゴールドフィンガー」のマーガレット・ノーラン(お二人ともご冥福を!)。「カジノ・ロワイヤル」のヴェスパー。
 
 「赤い影」と「反撥」にインスパイアされたみたいですが、「反撥」はエドガー・ライトの「ショーン・オブ・ザ・デッド」を「正統」と認めたロメロ師も「死霊のえじき」でもオマージュしてましたね。
 
 トーマシンちゃんは、こないだの「オールド」出てたし、アニャたんは「シャマラニック・ユニヴァース」の2・3作に出てる。何よりも「見えちゃう人」は「シックス・センス」だから、シャマラン要素も結構入ってる。
 なんか、そういういろんな同類項が入った作品でしたね。
(12/28追記:アニャたんは多重人格もの多いですね。本作も演出的には多重人格的表現がある作品だし。「スクリーミング・クイーン」ならぬ「多重人格クイーン」の肩書を与えてあげたい)
 
 その流れでいえば、ビートルズ要素もいくつかあって、冒頭の曲はレノン&マッカートニー若き日の作品「愛なき世界」だし、後にジョージがカバーする「Set on You」もオリジナルの方が流れてた。
(12/28追記:コメントで頂いておりました情報も書き添えます。本作に登場するシラ・ブラックがデビュー前に、セリフにもあった「クローク係をしていた」のは、キャヴァーンなんだそうです)
(12/28追記:エンドクレジットで、オケ録音はアビーロード・スタジオと表記されてました。まあ、アビーロードで録音してるイギリス映画はうじゃじゃあるから、ことさらにビートルズ要素ってわけでもないんだけどさ)
 
 トーマシンちゃんも可愛いんだけど、相変わらずアニャたんのフォトジェニックさは半端じゃなくって、本作唯一の欠点を指摘するなら「アニャたんの出番、意外と少なかったよな!」っていう点。
 
 序盤で大家さんのダイアナ・リグが言う、「夏の間はお風呂の排水溝に栓しててね。悪臭がのぼってくるから」が気になってたんだけど、全然そんなシーンがなくって、なんでかな? と思ってたのが、実は伏線だったってのも、かなり上品でした。