空海花

ラストナイト・イン・ソーホーの空海花のレビュー・感想・評価

4.1
エドガー・ライト監督のまた新しい境地。
ロンドンのデザイン専門学校に入学したエロイーズ。
寮生活に馴染めず、一人暮らしを始めるが、ある日眠りにつくと
夢の中で歌手を目指す魅惑的なサンディと出会う…

ファーストカット、踊るトーマシン・マッケンジーのニューズペーパーの完成度にびっくり。
綺麗なギャザーにひらひらした裾。
鏡映しのように対になる夢の中のサンディことアニャ・テイラー=ジョイもまた歌姫の似合うこと。
どうやって撮っているのかわからないセンスと技巧溢れる共演映像。
射し込まれる音響や選曲に
ノスタルジーを感じさせつつもファンタジーにならない巧さに唸る。
交錯するダンスシーンは白眉。

宣伝では“タイムリープ・サイコ・ホラー”とあるが
エンパイア誌の“サイコロジカルホラー”がしっくりくる。
といっても考えなくとも不思議な世界と展開に誘ってくれるのでその点での心配はない。

夢の中は60年代のソーホー。
60年代に憧れるエロイーズは、そのファッションや街並みの中でサンディとのシンクロを楽しんでいたが
不穏な雰囲気や恐怖もシンクロしていき
徐々に精神を蝕まれていく。
そこへ射し込まれる60年代のロンドン・ポップスの軽やかさがニクい。
「You're My World」「恋のダウンタウン」「Land of 1000 Dances」…etc.

『007 サンダーボルト作戦』(1965)の看板。
向かいにはカフェ・ド・パリ。
脇を固める俳優も60年代に活躍した名優というのがまたニクい。
冒頭に「For Diana」とあるのは、ミス・コリンズを演じた英映画・演劇界の長老ダイアナ・リグが2020年9月にがんで亡くなったことから、本作は彼女に捧げられている。RIP.🙏

物語自体は斬新な映像とは裏腹に
古典的な怪奇幽霊譚。
それなのに古臭さを感じさせないのがエドガー・ライトの力量か。

#MeTooとしてのスッキリ感は特に女性にはおすすめしたい。
あの男の子が優しくて良い。
ちょっとしたホラーが大丈夫ならカップルにもおすすめできるかなと😗
最後はなぜかちょっとウルッときた🥲


2021レビュー#214
2021鑑賞No.451/劇場鑑賞#92


主役格はマッケンジーちゃんですごくかわいかったけれど
私のMVPはアニャちゃん❤︎
最高にキマっていた😍
空海花

空海花