『エロイーズは夢を見る。』
めっちゃ好きなタイプのホラーサスペンス映画でした!世界観も、キャラクターもめちゃハマりました!!
以下、ネタバレを含みます。
オープニングがまず好みで、音楽に合わせて踊るエリーと共に部屋の小物をオシャレに映し出す。彼女の好きなことを紹介する、まさにイントロとして楽しい表現だし、何よりトーマシン・マッケンジーが可愛すぎた。
また、60年代のソーホーに切り替わる描写も雰囲気が良く出ており好きだ。この、夢で見たことを現実で追体験するという母親譲りの「ギフト」が物語の軸となる謎を生み、同時に解決の手段となるのだが、数々の伏線と共にその設定は上手く活きていた。
好きな場面は沢山あるのだが、一番のお気に入りは、エリーが夢と現実を混同し、60年代の映画で使われていたクサいセリフを思わず出してしまうところである。ロンドンでの生活に馴染めていない彼女の口から、積極的な誘い文句が出るギャップに心を奪われた。
ネオンに溢れる夜のソーホーに過去の幻影がちらつき、まるで異国に旅をしているような気分になった。それもタイムスリップ付きの。それほど画は魅力的だったし、小出しにされる謎もまたこの世界に惹きつける要因となっていた。
また、キーパーソンとなるジョンの役割もストーリー全体を通して見た時に、素晴らしい立ち位置だったと感じた。中盤以降、積極的にエリーのサポート役に徹するのだが、物語の中心人物になりすぎておらず、控えめだったことで、安っぽいホラー映画にぶれることがなく非常に良かった。
60年代に憧れて、魅了されたエリー。だからこそ、サンディの追体験に心底共感できたし、まるで自分自身のことのように売女扱いされて裏切られたことに哀しみを感じることができた。それゆえに、母親を殺した相手だと分かっても、救いたかったのだろう。
『ネオンは夢を見せてくれる。』