たぬき

ラストナイト・イン・ソーホーのたぬきのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

きっっっっつーーーー!!!
これは、いまの僕だからきっつかった。
1〜2年前だったら単純に楽しんでた気がする。

今や、人が、特に若者が性消費され、または性暴力を受ける描写を単純なエンタメとして見られなくなっている自分がいて、それはそういうことに関心や問題意識が芽生えている過渡期だからなんだと思う。

その問題意識をしっかり飲み込んで自身の一部となった先に、本作を楽しめる領域があるのかもしれない。

エドガーライトのコメントを読んで、60年代の闇に焦点を当てその渦中にいる女性を現代の女性が救おうとする物語、と言っていて、とても理解した。
だからこそ、その闇と、娯楽という意味のエンタメの融合は、やはり観る側の意識に委ねられるなと思う。

しかしながら、ハラハラドキドキなサンスペンスホラーとしては素晴らしい構成で、映像美や巧妙な編集は必見だった。
し、観客に理解させる物語の見せ方、脚本と演出がすごかった。
え、そういうことかー!あれかー!て完全に手のひらで転がされてしまった。

もうさ、序盤からエリーには幸せになってほしい、バッドエンドはやめてくれと祈りながら観ていて、エピローグの、ファッションショーとわかったときは安心して涙出たよね(まじで)。

サンディには生きてほしかったなぁ、と単純に思ってしまったけど、最悪な日々を忘れられたから生きていられたのかもしれない。

ほんとキツいけど、嫌な描写があるぞ、キツいぞと分かった上で観る、のがひとつ正しい姿勢だったかも。

かもかもばっかり言ってるけど、エリーも過去に魅せられて、今からでも救えるかもしれないという誘惑に心を傾けたのと同じように、僕も何かを想って生きていくのだろうな。
たぬき

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